2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本のホームレスの特異性に関する実証研究 中年単身労働者の失業問題として
Project/Area Number |
15530369
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Research Institution | GIFU COLLEGE OF NURSING |
Principal Investigator |
杉野 緑 岐阜県立看護大学, 看護学部, 助教授 (70326106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 昌子 淑徳大学, 社会学部, 教授 (50095402)
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Keywords | ホームレス / 日雇労働者 / 失業 / 社会福祉学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、今日のホームレス問題の中核である中年単身労働者の失業問題としてホームレス問題を把握し、日本のホームレスの社会的性格を明らかにすることである。今年度は1.2002年に実施した川崎市野宿生活者実態調査結果の再分析、2.川崎市簡易宿泊所及び宿所提供施設「臨港苑」関係者からの聞き取りとデータ収集、3.千葉県下野宿生活者宿泊所調査を実施した。以下に研究実績を報告する。 1.従来ホームレスの就労は、直前職に建設日雇労働者が多いことから、主として大規模な寄せ場との関係、建設業の変容との関係で考察されてきた。しかし、川崎ホームレスの3分の2は大規模な寄せ場経験はない。そこで、寄せ場経験の有無で就労実態を再度分析した結果、川崎ホームレスの母体は都市で働く建設業、製造業の現業労働者であり、その中心は日雇労働者であった。このことから、ホームレスへのルートは大規模な寄せ場労働者だけではなく、都市全域へ拡散していることが確認できた。 2.次に、簡易宿泊所及び宿所提供施設「臨港苑」関係者からの聞き取りとデータ収集により工都川崎において日雇労働者の位置づけを行った。日雇労働者は長年基幹産業を支える周辺労働力として必要とされた労働力であった。しかし、基幹産業の空洞化、衰退に伴う就業構造の変化、日雇労働市場の縮小による就業機会の減少により路上生活を余儀なくされていることが明らかになった。 3.このように都市現業労働者としての性格を持つホームレスに緊急的・即応的に対応しているのがNPO法人による自立支援を目的とした施設である。千葉県下での調査の結果、「救護を主たる目的」とする施設と「就労自立支援を主たる目的」とする施設に分化していていることをつかむことができた。
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Research Products
(2 results)