2006 Fiscal Year Annual Research Report
セルフヘルプグループの組織論的課題解明のためのストーリー及びメタファーの分析
Project/Area Number |
15530380
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岡 知史 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (50194329)
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Keywords | セルフヘルプグループ / 難病児親の会 / ストーリー / メタファー / 組織論 / 非営利団体 / 相互扶助 / 患者運動 |
Research Abstract |
日米の難病児親の会の役員にインタビューを行い、そこでどのようなストーリーあるいはメタファーが使われているかを分析した。その結果、日本の親の会では役員をめぐってtrapped leaders story(罠にかかったリーダーのストーリー)が話されていた。それは「自分は役員にはなりたくなかったが、ならざるを得なかった」と自分の役員就任を受動的に語るというものである。これは受動的なリーダーシップを評価する日本の文化とかかわりがあるように思われる。会の歴史を語るときには、米国の親の会ではprogress story(発展のストーリー)が語られていた。今よりも未来のほうが組織は大きくなるし、なるはずだ、ならなければ失敗だという考え方である。一方、日本の親の会では「集まっただけで良いではないか」「現状維持だけでも意味がある」と捉えていた会がいくつもあった。以上の成果は本年度、香港で開かれたInternational Conference of Social Work in Health and Mental Healthにて発表した。 メタファーに関しては、米国では非営利団体の経営論が進んでいるためか、「競争」「合理化」等のビジネスのメタファーが多く使われていた。日本の親の会ではビジネスのメタファーが使われることはほとんどなかった。むしろPTAや町内会活動など、やむをえない「つきあい」に関連するメタファーが使われていた(引き受けざるを得ない仕事を「貧乏くじ」と呼ぶなど)。しかし米国の共同研究者からは以下のような批判を受けている。すわなち、私のこの分析は、米国でも非営利団体の経営に関して最も深くビジネスモデルを採用している少数の団体をサンプルに含めている結果から生じたものであって、必ずしも米国の難病児親の会の全体的な趨勢を反映したものではないだろうというのである。
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Research Products
(1 results)