2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の社会的アイデンティティ・人種ステレオタイプの形成過程と現代の人種的偏見
Project/Area Number |
15530396
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
坂西 友秀 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30165063)
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Keywords | ステレオタイプ / 人種 / 民俗 / 態度 / 偏見 / マイノリティ |
Research Abstract |
昨年に引き続き、本年度も、分析のための資料整理に研究の中心をおいた。 第一に、日本人漂流民の見た外国・外国人観について整理を進めた。江戸時代末期には海運が発達し、日本各地を結ぶ数多くの船が航行していた。こうした商船や漁船の中には、遭難し、外国に漂着するものもあった。 第二に、昨年に引き続き、幕末・明治時代を中心に、日本に渡航し滞在した外国人が、日本人について記述した著書・記録を整理し、分析している。 第三に、現代のマイノリティに対する偏見と差別の心理を明らかにする実証研究を行った。(1)障害者に対するイメージと態度に関する予備的調査を実施した。結果を整理し、論文にまとめつつある。(2)人種的ステレオタイプに関する経年変化の実証的研究を継続的に進めている。絵本を材料にした実験をし、資料の収集を行った。 第四に、今年度から新たに「ナショナル・アイデンティティ」とステレオタイプ・偏見・差別の関連を明らかにするための実証的研究を開始した。今年は、ナショナル・アイデンティティに関する文献の整理と、ナショナル・アイデンティティを測定するための尺度の作成に焦点を当てた。今後、国際比較を行うためにナショナル・アイデンティティとステレオタイプ及び偏見の関係を明らかにするための質問紙を作成し、予備調査を実施した。現在結果を分析し、論文にまとめている。なお結果は来年度の教育心理学会で発表する予定である。 第五に、本研究の一環として今までに行ってきた研究を、学術振興会の刊行助成を受けて、「近代における人種・民族ステレオタイプと偏見の形成過程」と題して出版した。
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Research Products
(3 results)