2005 Fiscal Year Annual Research Report
個人-集団関係の社会的構築性:集団概念の文化内・文化間比較
Project/Area Number |
15530397
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
杉森 伸吉 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60266541)
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Keywords | 集団知覚 / 集団適応 / グループ・ダイナミックス / 集団サイズ / 相互独立性・協調性 |
Research Abstract |
文化と集団知覚の関連については,従来の社会的認知研究でも,グループ・ダイナミックスの研究でも,十分な研究が行われてこなかった。本研究は,グループ・ダイナミックスと集団知覚の関連を検討するものである。 集団内において、成員は相互独立的に行動する文化にあっては、集団サイズの大小に関わりなく、好ましい行動をする成員と好ましくない行動をする成員の人数比は、一定であると認知されるであろう。また、集団内において、相互協調的に行動する文化にあっては、集団サイズが小さいほど、個人の行動が集団に与えるインパクトは増加するので、良い印象を与えるよう、良い振る舞いをする成員が増えると考えられる。この点について検討するために、カナダの大学と日本の大学において、ヨーロッパ系カナダ人、アジア系カナダ人、日本人の3種類の参加者を対象に、集団サイズと好ましい・好ましくない成員の分布に関する素朴信念を調査した。その結果、日本においては予測通りに、集団サイズが小さいほど、好ましい成員が多くなり、集団サイズが大きくなるほど、好ましくない成員が増えると判断されたのに対して、ヨーロッパ系カナダ人は、集団サイズに関わりなく好ましい成員がほぼ60%で好ましくない成員がほぼ40%という判断だった。アジア系カナダ人は、日本人とヨーロッパ系カナダ人との中間的な判断を示した。 この結果は、従来の社会心理学ではまだ見いだされていない効果といえるものであり、同時に集団観を通じて、当該文化の中の集団力学についても推測する上で、意義のある資料といえよう。 また,集団の知覚は,知覚者の個人主義の程度に応じて変容することも明らかになった.
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