2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530398
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上市 秀雄 筑波大学, 社会工学系, 講師 (20334534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 孝 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (70195444)
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Keywords | 逸脱行動 / 意思決定 / リスク行動 / 後悔 / クリティカルシンキング / リスク認知 |
Research Abstract |
現在青少年の喫煙だけでなく、成人の喫煙率の高さやモラルが問題となっている。タバコのリスクを伝えるために日本ではパッケージに警告文が記載されているだけだが、カナダでは警告文とともに心臓疾患の写真も表示されている。本研究ではタバコのパッケージに書かれている警告内容および個人差が、大学生喫煙者および非喫煙者の意識や行動に及ぼす影響を検討した。 方法 被験者162人(男性喫煙者34人、男性非喫煙者67人、女性喫煙者4人、女性非喫煙者57人)に対して、質問紙調査をおこなった。質問項目は、クリティカルシンキング(探究心、客観性、意思決定スタイルなど)、タバコに関する意識(リスク認知、後悔など)、リスク回避行動からなる。被験者に、まずクリティカルシンキング、タバコに関する意識、リスク回避行動について回答させた。その後、タバコの恐怖を喚起するパッケージ(心臓の動脈が詰まっている写真と警告文)、または恐怖を喚起しないパッケージ(警告文のみ)を呈示した。そして再び、タバコに関する意識とリスク回避行動を測定した。そしてタバコに関する意識を従属変数として、クリティカルシンキング(高・低)×パッケージ内容(恐怖大・小)×パッケージ呈示(前・後)の繰り返しのある分散分析を行った。 結果 直観的に物事を考えて意思決定をする傾向の高い人(直観的意思決定スタイル)は、恐怖小のパッケージを呈示されると、一本ぐらいのタバコならば人体に影響はないと考える傾向や、タバコの吸殻が捨てられていても特に関心がないという意識が高くなることが示された。また、直観的意思決定スタイルの人は、恐怖大のパッケージを呈示されると、タバコに関して悪いイメージを持つ傾向が高くなることが明らかとなった。本研究の結果から、パッケージ内容を諸外国のように恐怖を喚起する内容にした方が、タバコに関する意識を変えることに有効であることがわかった。
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