2005 Fiscal Year Annual Research Report
集団間関系がリーダー出現およびリーダーシップ効果性に及ぼす影響
Project/Area Number |
15530400
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂田 桐子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00235152)
|
Keywords | 集団間関係 / 内集団プロトタイプ / リーダー / 集団アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究は,他集団との関係という状況要因が,リーダーの勢力や効果性に及ぼす影響について検討するものである.本年度は,集団間関係が顕在化した状況において,集団目標への貢献度,または内集団プロトタイプ性(以下,プロトタイプ性)によって勢力を得たリーダーが,それぞれ集団メンバーのパフォーマンスや満足度にどのような影響を及ぼすかを中心に検討した. 実験参加者43名を4〜6名の小集団に分け(9集団),制限時間内に課題を完成させる小集団実験を実施した.その際,「集団に対する考え方の違い」に基づいて9集団をさらに2種類の集団に分類し,集団間競争意識を喚起した.教示によって集団同一視が高まった集団と高まらなかった集団が存在したため,これらをそれぞれ集団同一視高集団・低集団として分析した.その結果,次の点が明らかになった.(1)集団同一視高集団では低集団より,リーダーとして認識されたメンバーのプロトタイプ性が高い傾向にあった.(2)また,集団同一視高集団では,プロトタイプ性と影響力の自己認知との正の相関が有意傾向にあったが,集団同一視低集団では有意ではなかった.ただし,集団同一視高集団では,課題貢献度と影響力の自己認知との間にも強い正の相関があった.(3)パフォーマンス変数には,リーダーの種類による明確な差異は認められなかった. (3)の結果から,パフォーマンスとリーダーのプロトタイプ性との関連をより詳細に検討する必要が生じたため,学生サークル18集団(205名)を対象とした調査結果を分析した。その結果,集団同一視の高い集団のメンバーはリーダーのプロトタイプ性が高いほど,また集団同一視の低い集団のメンバーはリーダーの課題志向的行動が強いほど,集団目標達成度が高いと認知していた.以上の結果から,集団同一視の高い集団では,リーダーのプロトタイプ性がパフォーマンスに寄与する可能性があることが示唆された.
|
Research Products
(1 results)