2003 Fiscal Year Annual Research Report
社会的推論の観点からみた心理学的状況の意味と分類に関する研究
Project/Area Number |
15530403
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
外山 みどり 学習院大学, 文学部, 教授 (20132061)
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Keywords | 社会的認知 / 推論 / 人と状況 / 多変量解析 / 分類 |
Research Abstract |
社会心理学全般において、そして特に帰属をはじめとする社会的推論研究においては、「人」の要因と「状況」の要因という分類を軸とした概念化が広く行われてきた。しかし、パーソナリティなど個人要因自体に関する研究、および対人認知や特性推論のような人に対する認知の研究が活発であるのに比較して、「状況」に関する研究は立ち遅れていると言わざるを得ない。このような現状を背景にして、本研究では、特に社会的認知・推論の観点から、社会的・対人的状況の心理学的意味に関する総合的検討を行う。全体計画としては、状況の認知に関する基本的な知見を得るための質問紙調査と、状況に関する視覚的情報・言語的情報が社会的推論に及ぼす影響を検討する実験室実験の両方を行う予定であるが、本年度は主に前者の質問紙研究を行った。これは、諸状況が一般人にどのように認知されているかを調べ、状況認知の基本的な次元を抽出することを目的としたものである。まず大学生を対象にした予備調査によって、日常よく遭遇する社会的状況・場面を選び、各側面に関する評定を求める質問紙調査を2度にわたって実施した。調査1では、12場面に対して、緊張度、状況的拘束の強度、行動の自由度、個人差の現われやすさなどの点から評定を求め、それをもとにクラスター分析を行った。その結果、自由で拘束力の弱いプライベート状況、大学の授業やサークルのような中程度の拘束力の状況、および緊張度の高いフォーマルな社会状況という3つのクラスターが見出された。調査2では、SD評定をもとにして多次元尺度構成法による解析を試みた。この種の研究では、分析のもととなる社会的状況を、偏らずに過不足なく抽出することが肝要であり、今後、更に詳細かつ精緻な検討を重ねる予定である。
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