2004 Fiscal Year Annual Research Report
社会的推論の観点からみた心理学的状況の意味と分類に関する研究
Project/Area Number |
15530403
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
外山 みどり 学習院大学, 文学部, 教授 (20132061)
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Keywords | 社会的認知 / 推論 / 人と状況 / 帰属過程 / 多変量解析 |
Research Abstract |
従来の社会心理学的研究においては、行動の決定因を「人」の要因と「状況」に分類し、それぞれの影響を検討してきた。また、帰属をはじめとする社会的推論研究においても、「人」と「状況」とは主要な分類軸であったが、「人」に関する研究に比較して、「状況」の研究は立ち遅れており、本研究は、社会的な諸状況が心理的にどのような意味をもつかを探究する試みの第一歩として計画された。全体計画としては、まず認知を通して諸状況の分類を行う質問紙調査を行い、その後、それをもとにして言語情報を操作した質問紙実験と、視覚的情報・言語情報の両者を操作した実験室実験を行うという計画になっている。15年度は、2段階に分けて質問紙調査を行い、諸状況の評定をもとにして状況の分類を試みた。本年度(16年度)は、まず前年度の調査に基づく多変量解析を更に詳しく行った。各状況の情意的意味を測定するために実施した評定結果から、「快活性」、「公式性」、「平穏性」という3次元を抽出し、さらに多次元尺度法によって各状況の布置を導いた。この結果は国際学会で発表した上、紀要論文にまとめた。その後、研究の次の段階として、帰属・特性判断における状況要因の効果を調べるための質問紙実験に移った。具体的に述べれば、他者の行動から内的状態や特性の判断を行う際には、行動の行われた状況の性質を考慮に入れる必要があるが、従来の帰属研究の結果では、状況要因の作用が往々にして軽視され、拘束の強い状況で行われた行動からも、内的特性が推測される傾向があることが知られている。社会的推論において、どのような状況要因が軽視され、どのような状況は考慮に入れられるのかを明らかにすることは今後の研究の進展に大きく寄与すると考えられる。本年度は質問紙実験によって、さまざまな社会的状況下での各種行動から特性や内面特性に関する推論が行われる程度を探索的に検討した。この結果は次年度の更なる質問紙実験、そして現実の人間行動の観察を含む実験室実験へとつなげていく予定である。
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Research Products
(1 results)