2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530406
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中里 至正 東洋大学, 社会学部, 教授 (30058036)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 真 川村学園女子大学, 文学部, 助教授 (70281318)
松井 洋 川村学園女子大学, 文学部, 教授 (00095465)
松本 恒之 東洋大学, 社会学部, 教授 (10058018)
|
Keywords | 恥意識の構造 / 中・高生 / 行動抑制力 / 親子関係 |
Research Abstract |
今年度の研究の主たる目的は、第1に、日本の若者(中・高校生)の恥意識の実態を把握すると同時に、彼らの恥意識の心理学的な構造を知ることである。第2の目的は、恥意識と、道徳意識、愛他意識、価値観、非行的態度、親子関係などとの関係を知ることによって、恥意識の持つ行動抑制力としての役割を明らかにすることである。調査の対象は、北海道、青森、沖縄の中学2年生男女446名、東京と沖縄の高校2年生男女580名の合計1026名である。 今回の調査で明らかになったことを要約すると以下のようにまとめられる。 (1)若者の恥意識には、他者との関係で恥を感じること、自分自身との関係で恥を感じること、流行やフアッションとの関係で恥を感じることの3側面があることが因子分析の結果明らかになった。 (2)しかし、上記の3側面はわれわれが予想していたよりも明確ではなかった。特に第3の側面、つまり流行やフアッションと関連する恥意識は、これを構成する質問項目が少なく問題があった。このことから、恥意識と関連する質問項目全体を再吟味しなければならないという結論に達した。 (3)現段階では、トータルとしての恥意識の強弱は、道徳意識や愛他意識、非行的態度、さらに親子関係の良否と強く関連してことが明らかになっている。つまり、恥意識が強いものほど道徳意識も愛他意識も、さらに非行的態度も望ましい形になっているのである。このことから、恥意識は明らかに望ましくない態度や行動を抑制する機能を有していることがわかる。 本研究全体を通して、われわれは恥意識の行動抑制力に関する研究の足がかりをつかんだという確信を持つに至っている。
|