2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本文化における相互独立性/相互協調性の形成過程-児童期から老人期に至る生涯発達の縦断的研究-
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15530415
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
高田 利武 奈良大学, 社会学部, 教授 (20008189)
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Keywords | 文化的自己観 / 相互独立性 / 相互協調性 / 日本文化 / 発達 / 縦断追跡調査 / 自己スキーマ |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本文化における「自己」の特性が、どのように形作られ発達してゆくかを、文化心理学的観点と生涯発達的観点の双方を総合して、実証的に解明することにある。具体的には、Markus & Kitayama(1991)による、西欧文化で優勢な相互独立的自己観と日本文化で一般的な相互協調的自己観の区分に立脚した上、研究代表者の従来の研究成果に基づく「社会的比較を通じた相互協調的自己観が直接的に内面化されて相互協調性が青年中・後期に確立し、それを基礎とした日本的相互独立性が成人期に生じ、老人期には相互協調性と独立性が統合される」というモデルを、縦断的資料に基づいて検討すると共に、青年中・後期に確立する自己スキーマとしての相互協調性の内容と構造について更に検討を加えて明らかにすることを試みるもので、I.縦断追跡調査、II.無作為横断調査、III.実験的検討、の3つの研究計画に大別される。このうち本年度はI.の一部分を実施する予定であったが、それに加えてIII.の一部も実施し、大凡以下の如き結果を得た。 (1)現在青年期にある者(大学生)を対象とした縦断追跡調査:小学校高学年から追跡している対象者の内、今年度は約30名の資料を得た。児童期から青年期にかけて相互独立性は低下し、相互協調性は上昇するという、従来の横断資料による知見と一致する傾向を示した対象者が多かったが、未だ対象者数が少数に止まるため、明確な結論を得るには来年度以降の資料追加を待つ必要がある。 (2)現在青年期にある者(大学生)と中年成人を対象とした予備調査:平成18年度に追跡調査を実施するための基準調査として、夫々約200名の対象者に文化的自己観尺度を実施した。その結果は概ね従来の傾向と一致し、成人は大学生より相互独立性は高く相互協調性は低かった。併し乍ら、青年・成人共に従来よりも相互協調性が高く相互独立性が低い傾向があった。この原因が奈辺に存するか、追跡調査の結果が待たれるところである。 (3)相互独立性/協調性自己スキーマの成立に関する実験的検討:大学生と老人それぞれ約60名を対象とした実験の結果、相互協調性自己スキーマは青年期に成立するが、相互独立性スキーマは老人期においてややその形成が推測されるが明確ではない、という従来の横断資料からの推論とほぼ一致する結果を得た。
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Research Products
(1 results)