2005 Fiscal Year Annual Research Report
ユニークフェイス児のための家族教育プログラムの開発
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15530432
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
足立 智昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (30184188)
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Keywords | ユニークフェイス / 容貌 / 口唇裂口蓋裂 / 心理社会的適応 / ソーシャルサポート / 親 |
Research Abstract |
1.目的 昨年までの本課題の研究から、顔の変形に関する欧米の心理学的知見が、そのまま日本に適応できない場合があることが明らかとなってきた。そこで、本年度は、家族が求めている支援の内容と、特に母親の心理社会的適応について、改めて検討を行うことを目的とした。 2.方法 (1)被験者:2歳から6歳の口唇裂口蓋裂児の母親50名。平均年齢31.2歳(SD4.5)。 (2)半構造化面接:母親の子どもの疾患の認知、過去および現在のソーシャルサポート資源、現在および将来必要なソーシャルサポートの内容、心身の健康状態、社会的適応状況等について、およそ30分間質問を行った。 (3)質問紙:口唇裂口蓋裂ニーズ質問紙(CLPが生じる理由、修正術、治療のスケジュールなどの20項目)、およびベック抑うつ質問紙を面接に継続して実施した。 3.結果と考察 (1)母親の心理社会的適応について:母親の10%が既に離婚しており、この疾患が家族に大きな葛藤をもたらしているにとが明らかとなった。また、母親の66%が、身体の不調を訴えており、その内容(不眠、頭痛、胃腸障害等)から心身症の状態にあった(あるいは今もその状態にある)ことが推測された。 (2)母親の適応と関連する要因について:前項の結果に基づき、母親の適応レベルを4段階に分類した。その結果と、半構造化面接によって得られた諸要因との相関を求めたところ、子どもの数、子どものことを話す範囲、ソーシャルサポートの範囲等の間で有意な正の相関が得られた。 (3)母親が必要としている支援内容:医療費、交通費などの経済的支援、子どもが学校などに適応するための心理的支援、今後の経過などに関する情報的支援などのニーズが高いことが明らかとなった。 4.まとめ 子どもが生まれておよそ1年間の間は、半数を超える母親が抑うつ状態であった。また、現在も、およそ15%がうつ状態にあると推測され、心理社会的介入を必要としていた。母親が必要としている支援の内容は多様であり、専門機関から一方的に支援を行うというよりも、家族のニーズに合わせて慎重に支援を行うことの必要性が明らかとなった。日本においても、これらの家庭に対する組織的支援の体制作りが急務であると判断された。
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Research Products
(2 results)