2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530435
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
外山 紀子 津田塾大学, 学芸学部, 助教授 (80328038)
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Keywords | 認知発達 / 素朴生物学 / 心身相関 / 幼児 / 概念形成 / 幼小連携 / 発達心理学 / 心理学 |
Research Abstract |
2つの実験・調査を行い,以下の結果を得た. 1.身体症状に関する理由の説明 5・6歳児68名,2年生46名,5年生45名,大学生40名を対象に,個別インタビュー実験を行った.まず,嘔吐・腹痛・赤面・食欲旺盛・健康維持・治癒という6つの身体的な状態を示し,「なぜそうなるのか」と自由に理由説明を求めた.次に,生物学的原因と心理的原因を示し,それぞれの身体的な状態との因果関係に同意するかどうかを聞いた.その結果,以下3つのことが示された. (1)5・6歳児・2年生は,心理的原因と身体的な状態との因果的関連性に気づいていなかった. (2)5年生頃から徐々に,生物学的原因(腐ったものを食べて吐いた)のみならず,心理的原因(心配なことがあって吐いた)と,身体的な状態との関連性に気づくようになる. (3)大学生でも心理的原因と身体的な状態との関連に対する説明は明確ではなかった.大学生の行った説明の中核には,(a)心と身体は一元的であり相互に影響を与え合うこと,(b)心(感情)は意志の力によって必ずしもコントロールできないこと,という2つの理解があった. 2.実際の経験と理解との関連 幼稚園・保育園から小学校にかけて,入学にともなう緊張などから不適応を経験する子どもは少なくない.そこで,小学校1・2年生とその母親38組を対象として,母親に対しては,子どもが身体的な不適応症状を発症したかどうか,その際どのような説明を行ったかについて,個別インタビューを行った.子どもに対しては,自分の経験をどのようにとらえたのかを聞き,あわせて上記1.の実験で用いた課題を行った.その結果,以下2つのことが示された. (1)小学校入学の時期に不適応を経験したかどうかと,心身相関に関する理解との間に関連は認められなかった.すなわち,実際に不適応を経験しても,心身相関に関する理解がよいということはなかった. (2)親は,身体的な症状を説明することに対して積極的ではなく,説明もあいまいだった.
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