2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530435
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
外山 紀子 津田塾大学, 学芸学部, 助教授 (80328038)
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Keywords | 認知発達 / 領域理論 / 概念形成 / 母子相互作用 / 素朴生物学 |
Research Abstract |
昨年度の研究より,大人における心身相関の理解は,身体と心の制御不能性,身体と心の相互性に関する気づきを基礎としていることが明らかになった.そこで今年度は,これら2つの信念に関する子どもの理解を2つの実験により検討した.また,理解の源泉に対する示唆を得るために,心身相関に関する社会的な情報についても検討した.具体的には,以下3つの実験・調査を行った. 1.身体の制御不能性に関する理解の検討 6歳児12名,8歳児17名,11歳児18名,大学生24名を対象に個別インタビュー実験を行った.身体的過程(吐くなど),感情(心配になるなど),信念(月の世界を想像するなど),行動(足をぶらぶらさせるなど)が意図的に制御できるかどうか判断を求めた.その結果,6歳児でも年長者同様,身体的過程は制御できないが信念・行動は制御できることを理解していた.しかし,6・8歳児は11歳児・大学生とは異なり,否定的な感情も制御可能と考えていた. 2.身体と心の相互性に関する理解の検討 6歳児23名,8歳児15名,11歳児16名,大学生18名を対象に,個別インタビュー実験を行った.身体的/精神的エネルギーの摂取が,身体/心理特性に影響を与えるかどうか判断を求めた.その結果,6歳児でも身体的エネルギーの摂取が身体特性だけでなく心理特性にも効果をもつと考えていた.11歳児・大学生は,精神的エネルギーの摂取が身体特性に効果をもつと判断したが,6・8歳児についてはそうではなかった.ここから,心と身体の相互性について,幼児でもある種の理解を有していることが示唆される. 3.心身相関に関する社会的な情報の検討 3〜5歳児とその母親14組を対象として,心/身体に原因のある身体反応を描いた絵本を読んでもらい,母親の発話を分析した.母親の説明は身体性のものより心因性の身体反応について,よりあいまいであり,因果関係の説明を含まないことが示された.
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