2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における取扱説明書からの手順理解とその支援-高齢者における標準化効果の解明-
Project/Area Number |
15530440
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 博樹 大阪学院大学, 流通科学部, 助教授 (30245188)
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Keywords | 認知的加齢 / 取扱説明 / 手順理解 / 標識化効果 / 体制化方略 / 学習支援 / 機器操作学習 / 住まい |
Research Abstract |
1.研究の目的: 認知機能の低下する高齢者が住まいの中で新技術の学習を余儀なくされることは多い。こうした高齢者の学習を支援するために取扱説明書は重要である。ところが、その手順文の構造は明示されないため、手順の理解し記憶は難しい。そこで、見出しなどの標識で手順文の最上位構造性を示すと記憶が促進されるとされるが(標識化効果)、効果メカニズムは解明されていない。本研究では、平成15年度より、高齢者が手順文を記憶する際の体制化方略に着目し、標識化すると、高齢者の「質の高い」体制化方略の使用が支援され(仮説1)、高齢者の手順文の理解と記憶が向上する(仮説2)と仮説し、検証した。平成16年度では、手順文の最上位構造性の明示性を高める標識化を用いると、上記の効果が鮮明になり、高齢者の理解・記憶を支援すると仮説し(仮説3)、検証した。 2.研究の実施と結果: 前期高齢者30人と大学生30人を被験者とした実験を行った。ドーム型照明器具の取付の手順文を課題に用い、アンダーラインなど形式的特徴を伴った見出しを用いて最上位手順の切れ目を明示した。10の手順文を短冊状に裁断し、文配列課題ならびに再構成課題とした。実験では、次の4つの課題を実施した。第1に、文配列課題として10枚の手順文をランダムな順序に提示し、体制化させた。第2に、再認課題として標識を再認させた。第3に、再生課題として最上位手順を再生させた。第4に再構成課題として手順文を再構成させた。結果から、1)手順文の体制化、2)標識の再認、3)最上位手順の再生、4)手順文の再構成に関する加齢差の検討を通じて、手順文の最上位構造性の明示性を高める標識化を用いると、高齢者の理解・記憶を支援することが示され、本年度の研究実施計画は遂行された。なお、これまでの研究結果は、本年度において、米国心理学会大会で発表され、日本基礎心理学会雑誌「基礎心理学研究」に掲載された。
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Research Products
(1 results)