2003 Fiscal Year Annual Research Report
PTSD(心的外傷後ストレス障害)治療のための心理療法EMDRのメカニズムの解明
Project/Area Number |
15530442
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菅原 正和 岩手大学, 教育学部, 教授 (70111234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
我妻 則明 岩手大学, 教育学部, 教授 (30132228)
加藤 義男 岩手大学, 教育学部, 教授 (30003958)
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Keywords | 心的外傷後ストレス障害 / 心理療法 / トラウマ / REM睡眠 / 眼球運動 / 側方性 / 自然環境 |
Research Abstract |
我々の実験室では、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して最近開発された、画期的心理療法EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)に用いる最適刺激は、F.Shapiroの原法よりも、日本人においては自然界の視聴覚複合刺激が優れていることを明らかにした(Xue, C., Suzuki, K., and Sugawara, M. : Psychologie in Austerreich, 2001).平成15年度の研究目標は、EMDRの効果に関する説明をShapiroのような単なる脱感作(Desensitization)に求めるのではなく、EMDRにおけるEMが如何なる脳内メカニズムによって恐怖や怒り、悲しみの自動的発生反射神経回路を消去して行くのかを解明して、心的外傷の治療効果を高めることであった。EMDRの治療プロセスはREM睡眠の水平急速眼球運動と酷似している。そこでEMDR実施後のウルトラディアンリズムにおけるREMと睡眠内容の変化を詳細に分析した。その結果EMDR後のREM睡眠は統制群と比較して延長し、REM密度も高まりSUDsの低下速度を速めることが明らかとなった。そしてEMDR中の水平眼球運動が負の感情想起によって引き起こされる、右半球のαブロッキングを解除し、同側半球のα活動を増加させるという知見を得た。これらの研究からREM期はもとより、心理療法EMDR中の眼球運動とりわけ水平眼球運動が、ストレスを低下させる機能を有していると思われる。以上の成果は、2004年7月Brisbaneにおける国際神経心理学会で発表される。
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