2004 Fiscal Year Annual Research Report
PTSD(心的外傷後ストレス障害)治療のための心理療法EMDRのメカニズムの解明
Project/Area Number |
15530442
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菅原 正和 岩手大学, 教育学部, 教授 (70111234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 義男 岩手大学, 教育学部, 教授 (30003958)
我妻 則明 岩手大学, 教育学部, 教授 (30132228)
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Keywords | EMDR / PTSD(心的外傷後ストレス障害) / トラウマ / 眼球運動 / 心理療法 / EEG / トポグラフマップ |
Research Abstract |
PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対する画期的治療法として登場したF.ShapiroのEMDR(eye movement desensitization and reprocessing)は従来の心理療法よりも治療期間が極端に短く治療効果が高い反面、その脳内メカニズムは殆んど解明されていない。PTSDの記憶想起は、防衛機制により時として大きな抵抗を伴う。ましてやその過酷な想起内容を言語化して、セラピストへ話すに至るまでの過程には様々な困難が存在する。その点EMDRは想起のみにとどめ、必ずしもすべてを言語化することを強制しないところが心理療法としては新しくかつ優れている。 EMDRの治療効果をさらに高めその脳内過程を明らかにするため、1)視覚聴覚複合刺激を、記憶想起後のサッケードを誘導するトリッガーとして使用し、周波数ごとに大脳頭皮上マップを作成した。分析部位は国際10-20法のF3,Fz,F4,T3,C3,Cz,C4,T4,P3,Pz,P4,Oz並びにO1,Orの14領域、周波数はδ(0.5-4.0Hz),θ(4.0-7.0Hz),α1(8.0-10.5Hz),α2(10.5-13.0Hz),β1(13.0-21.5Hz),β2(21.5-30.0Hz),γ(30.0-50.0Hz)の7帯域であった。その結果provocationにおいて、左前頭葉のβ power spectrumが著しく増大すると共に、desensitazationにおける前頭葉θのpower値が高くなることが明らかとなった。この事は記憶の再処理過程と対応しておりcortical sourceのcoherent expantionと関連している。2)3DのASAによる分析は、ブリテッシュ・コロンビア大のLawrence M.Ward教授の協力のおかげでBISAとMATLABと比較した場合、2004年12月時点においては、BISA,MATLAB,ASAの順で解析能が高いことが判明した。
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