2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌患者への介入方法の改善-「語り」の視点の導入とスタッフの健康心理学的教育-
Project/Area Number |
15530459
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Research Institution | TOHOKU GAKUIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
堀毛 裕子 東北学院大学, 教養学部, 教授 (90209297)
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Keywords | 乳癌 / 病気の語り / 健康心理学 / スタッフ教育 / Sense of coherence / Quality of life / Health Locus of Control |
Research Abstract |
本研究の目的は、乳癌患者のQOL向上のために、看護師を中心とする病棟・外来の医療スタッフに対する健康心理学的教育を行い、その場限りの対症療法的な援助にとどまることなく、患者に対する生物・心理・社会的な全人的な援助ができるような視点を身につけていくよう検討することである。特に患者理解に関しては、人生や病気体験についての患者の「語り(narrative)」という視点の獲得を目指す。 3年間を予定した研究の最終年度にあたる平成17年度は、これまでの成果に基づいて2つの学会発表を行った。日本パーソナリティ心理学会第14回大会では、「乳癌の病気体験と語り(II)-Sense of coherenceの視点から-」と題して、初年度に実施した患者への個別面接を元にQOL尺度の高得点者と低得点者の病気の語りを分析し、患者の語りに見るSense of coherenceの違いがQOLにも反映されていることを示した(優秀大会発表賞を受賞)。また、病院スタッフ(看護師)は心理的理解の重要性に関して、北福島Breast Cancerセミナーにおいて「乳がん患者に対するチーム医療の取り組み-特に心理学的サポートについて-」を報告した。 また、調査のフィールドとなっている病院で、今後も健康心理学的な介入の知識と工夫についてスタッフがいつでも参照できるよう、これまで3年間継続してきた健康心理学的教育のミニレクチャーや事例検討の資料などの成果をまとめてパンフレットに作成すべく、現在印刷の途上にある。 さらに、乳癌手術に伴う患者の不安を術前から約半年後まで追跡することにより、術式や治療法による不安の比較検討を継続しているが、このような患者の心理を把握した上での援助の重要性については、スタッフ(看護師)が来年度の日本乳癌学会で発表する予定(受理済み)となっている。 3年間の研究により質量ともに多くのデータを得ており、さまざまな角度から分析し成果をまとめるまでにはまだしばらくの時間を要するため、研究全体の成果報告書は追って提出する予定である。
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