2004 Fiscal Year Annual Research Report
親による乳児の情緒読み取りに関する研究 -育児支援における有用性の検討-
Project/Area Number |
15530461
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
深津 千賀子 中京大学, 心理学部, 教授 (20051625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古井 景 愛知淑徳大学, コミュニケーション学部, 助教授 (30238662)
濱田 庸子 慶應義塾大学, 環境情報学部, 助教授 (50172979)
井上 果子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (10242372)
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Keywords | IFEEL Pictures / 母子関係 / 育児支援 / 情緒応答性 |
Research Abstract |
乳幼児の親は子どもの情緒状態を認知し,それに基づいて養育行動をとると考えられる。本研究の目的は,情緒応答性を明らかにするためのツールである日本版IFEEL Pictures (JIFP)の基礎的・臨床的調査を行うことによって,臨床場面における育児困難事例のスクリーニングおよび育児支援への応用を検討することにある。昨年度は「IFEEL Story法」(Hirano, Hamada, & Okonogi, 2004)や母子関係の査定を目的とした「関係性評価尺度」の開発(長屋・深津,2003)などの基礎的研究に加えて,育児困難事例の検討(長屋・深津,2003)などを行った。 本年度は,「関係性評価尺度」を使用して女子大学生と母親の比較(長屋・深津・濱田・井上,2004)を行った。その結果,女子大学生は教示通り単純に子どもの情緒状態を読み取る傾向があったのに対して,母親は子どもの情緒だけでなく生理状態や子どもがおかれた状況を把握しようとする傾向があることが明らかになった。さらに,母親の情緒の読み取りは、現実に育児中の子どもの性別や発達段階など、養育経験の違いによって影響を受ける(長屋,印刷中)こと,また産後抑うつ状態にある母親は子どもの情緒を過剰に読み取るものの,その健康状態には注目しない傾向があることが示された(長屋・森岡・佐藤・深津,2004)。これらの所見から,母親自身の養育経験によってその情緒応答性はより育児に適したものへと変化するが,母親の精神的な健康状態によってそれが障害される可能性があることが明らかになった。 今後は基礎的研究を重ねることに加えて,臨床群について実施した上で面接などの所見と照合し、より詳細な検討を加えて母子相互の情緒的な関係性に関する所見を育児支援に積極的に役に立てたいと考えている。
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Research Products
(4 results)