2005 Fiscal Year Annual Research Report
広空間布置の刺激呈示環境を用いた色及び輝度システムの相互作用に関する研究
Project/Area Number |
15530466
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川端 康弘 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (30260392)
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Keywords | 広空間布置 / 色検出システム / 輝度検出システム / モジュール間相互作用 / 順応レベル / 空間周波数 / コントラスト感度 / 方位 |
Research Abstract |
本研究は、一般の認知心理学に用いられる環境とは異なり、広い空間的布置で刺激が呈示できる環境を構成すること、またその実験環境を用いて色検出系と輝度検出系の相互作用に関する3つの実験を行うことを目的としており、3年度にわたる研究の最終年度にあたる。我々は視覚系全体の時空間的な情報処理過程には、輝度検出機構だけでなく色検出機構の特性が重要な影響を及ぼすことを見いだしてきたが、これらの実験に用いた刺激呈示法には、色検出系の機能を検討する際に明確な限界があった。つまり広い(大きい)空間布置の刺激を呈示できないことである。過去の研究から色は大局的次元・低周波数帯域でよく機能し、このような環境下での検討は人間の色覚モデルを考える上で重要である。この環境はまた他の心理学の実験環境にも援用可能である。初年度は実験環境の整備と実験1(空間的コントラスト感度曲線に及ぼす色システムの順応レベルの効果)を行い、昨年度は輝度と色度の相互作用を検討した(実験2)。 今年度は実験3を行った。色システムの空間周波数チャンネルの全体像を考察するために、特定の方位及び空間周波数を持つ刺激に選択的に順応した後のコントラスト感度を測定した。色のCSFについてはいくつかの先行研究があり、輝度のCSFの形状との違いが指摘されている。また我々の先行研究から、色システムの順応レベルが色のCSFの形状にある程度影響することが指摘されている。これは色システムが輝度システム同様、順応レベルに応じて、最適感度の周波数チャンネルを変動させていること、ひいてはその背後に色のCSFが複数の空間周波数チャンネルの感度曲線のエンベロープにより成り立っているという仮説を示唆するが、過去の研究だけでこの考えを立証することはできない。つまり色システムが得意とする低空間周波数帯域を扱ったデータがないからである。この実験では選択的色及び輝度順応の手法を用いて上記の仮説を検討し、輝度システムに比べてかなり低い空間周波数帯域で、かつ従来知られていた色の周波数チャンネルよりも低い帯域で、順応刺激の空間周波数や方向、色度に選択的な複数の色周波数チャンネルの存在を示唆するデータが得られた。
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Research Products
(2 results)