2005 Fiscal Year Annual Research Report
前頭連合野における記憶機構の大脳半球機能差に関する実験神経心理学的研究
Project/Area Number |
15530472
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
永江 誠司 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20108418)
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Keywords | Goldman-Rakic仮説 / ワーキングメモリ / リーディングスパンテスト / 認知的偏向課題 / 性差 |
Research Abstract |
本年度の研究で検討したのは、Goldman-Rakic (1992,1994)によって提唱されたワーキングメモリに関するGoldman-Rakic仮説の継続的検討であった。ワーキングメモリの形成、維持、消去に前頭連合野が関与しているというのがGoldman-Rakic仮説である。しかし、この仮説における大脳半球機能差およびその性差については十分検証されていない。そこで、本年度の研究において、前頭連合野におけるワーキングメモリの大脳半球機能差について検証し,併せてその性差を検討した。ワーキングメモリ課題としてリーディングスパンテスト(RST)を、前頭連合野優位型の測定に認知的偏向課題(CBT)を用いて検証した。 その結果、右前頭連合野優位型が左前頭連合野優位型よりRST得点が高いことが碓認された。右前頭連合野は左前頭連合野よりワーキングメモリにより優位な役割を果たしていることが示された。これらの結果は、読みのワーキングメモリ機構が右半球においても働いている可能性を示している解釈した。 次に、高具体性語が低具体性語よりRST得点が高いことが碓認された。この結果は、文の読みに伴ってターゲット語を保持するときに、語の具体性の要因が効果をもつことを示している。高具体性語は、低具体性語に比べて視覚的にイメージしやすいだけでなく、想起される手がかりが多いことがワーキングメモリ量を高めたと考えられる。 性差に関しては、男子が女子よりRST得点が高いことが示された。しかし、男女において左右前頭連合野におけるワーキングメモリに差異がみられるということは示されなかった。さらに、リーディングスパンテスト遂行時の脳賦活を測定したが、左右前頭連合野間に有意な差はみられなかった。
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Research Products
(1 results)