2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマンエラーに関する情報処理資源と身体反応の要因分析
Project/Area Number |
15530474
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
板垣 文彦 亜細亜大学, 国際関係学部, 助教授 (10203077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 麻子 日本大学, 文理学部, 教授 (70200780)
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Keywords | ワーキングメモリ / 乱数生成課題 / 知能 / ヒューマンエラー / 心臓血管反応 / 高血圧 |
Research Abstract |
ヒューマンエラーに関する情報処理資源の要因を検討する際,本研究でその主要な評価指標として用いている乱数生成課題がどのような情報処理能力を反映しているかについて,まず,課題事態の特性と個人差の側面を明確にする必要があった.この内容に関する本年度の研究実績としては3点ある.それは1)乱数生成課題遂行時に,選択事象である数を視覚提示した場合に,2種類の情報処理方略の使用がどちらとも低減するというもので,これは乱数生成課題遂行においてかなりの情報処理資源が心的(数)表象の維持に関わっていることを示すものであった.2)さらに,WAIS知能検査との相関的関連から,2つの情報処理方略は言語性IQ,動作性IQのバランスに関連していることを明らかにした.それらの方略によって生成される記憶容量(エピソード・バッファ容量)は知能と明確な関連を示さなかったが,それを維持するための処理効率は,学習能力に最も関連の強い「符号」問題であることが明らかになった.3)これらの結果を基に,乱数生成課題の一般モデル「軸モデル」をワーキング・メモリ理論の枠組みの中で発展させた.それはこの課題が音韻(言語)情報を系列手がかりとして,視空間スキーマを構築していく学習プロセスを反映しているということである.今年度の研究を通してヒューマンエラーと情報処理資源の関連を効率的に検討するための道具が用意された. 乱数生成課題と身体反応の関連を検討する上で重要な点は,本課題が発声を伴っている点である.発声すなわち発話がどの程度身体的負荷となるのかを検討することは,本課題の基礎的特性を理解する上で必須である.そこで発話時の心臓血管反応についての検討を行なった。その結果,被験者は全て健常成人であったにもかかわらず,発話時の収縮期血圧,拡張期血圧共に高血圧基準をはるかに上回るものであった.この結果は,ヒューマンエラー評価における乱数生成時の身体反応の分析において考慮すべき点を示唆するものであった.
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Research Products
(5 results)