2003 Fiscal Year Annual Research Report
プレパルス・インヒビション課題のヒトへの適用と臨床的応用
Project/Area Number |
15530481
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
磯 博行 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (80068585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木 昭紀 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (30203425)
長田 久雄 桜美林大学, 大学院・国際学研究科, 教授 (60150877)
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Keywords | プレパルス・インヒビション / 注意 / 驚がく反射の測定 / 動物とヒト / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
プレパルス・インヒビション(PPI)課題は認知能力の一つである「注意」の指標として最近注目をあびている。強い音刺激に対する驚がく反射を指標として行動的に測定する技術が動物を使った基礎実験ですでに確立され、我々もラット、マウス、ハムスターなどを使ってPPIを測定できる事を報告して来た。 一方、PPIはヒトの注意能力の指標としても有用であるが、従来はまばたき反射を指標として調べられていたためにピックアップの装着などで被験者への負担が大きく、実用的でなかった。我々は、これまでの動物での経験をもとに動物と同じ方法論をヒトに応用することを目指した。最初の実験では、動物で用いたものと同じ実験系をヒトに適用した。そして、強い音刺激への驚がく反射である体の揺れを振動センサーによって計測し、強い音の直前に弱い音刺激(プレパルス)を挿入するとPPIが生じる事、PPIには個人差があること、そしてその方法が十分実用に耐えることを示した(磯、2003)。 その後、いくつかの刺激条件の中で、最も強くPPIを引き起こす条件を使って、大学生と50-60歳代の被験者における比較を行ない、壮-老年期にはPPIは減弱することを見いだした(磯、長田、他、2004、第68回日本心理学会発表予定)。さらに、この手法の臨床的応用をはかるために、兵庫医科大学倫理委員会の審査を経て、植木を中心に軽度アルツハイマー病の患者に関する検討を行い、軽度アルツハイマー患者では注意力が低下していることを見いだした。この結果は今夏にも発表予定である(植木、磯、他、2004、第26回日本生物学的精神医学会)。さらに現在、被験者の驚がく反射を、コンピューターソフトによる画像処理によって計測する技術を開発中である。
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Research Products
(1 results)