2003 Fiscal Year Annual Research Report
映像による模擬犯罪現場の事前呈示がP300を指標とした虚偽検出に及ぼす影響
Project/Area Number |
15530483
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
平 伸二 東亜大学, 総合人間・文化学部, 教授 (30330731)
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Keywords | 虚偽検出 / 事象関連電位 / P300 / 模擬窃盗課題 / 長期記憶 / 再認促進 |
Research Abstract |
P300と呼ばれる事象関連電位は、有意味な刺激に対する情報処理を反映するため、虚偽検出の有効な指標となることが認められている。しかし、多くの研究は、検査直前に模擬窃盗課題などで被験者が選択した物を検出対象としている。ところが、実際の犯罪捜査での虚偽検出は、犯行の日に検査することは極めてまれである。そこで、本研究では、P300による虚偽検出の長期間経過後の有効性について検討(平成15年度実施)するとともに、正検出率を向上させるための事前映像呈示法の効果について明らかにする(平成16年度実施)ことを目的としている。 平成15年度では、被験者は模擬窃盗課題直後に検査を受ける群(直後群)と模擬窃盗課題後1ヶ月以上経過して検査を受ける群(1ヶ月後群)に分けて実験を行った。実験は脳波を測定しながら、5つの貴金属の画像をランダムな順序で呈示した。刺激呈示間間隔は2500msとし、加算平均回数は20回とした。被験者には、「脳波の検査によって、選んだ貴金属を検出されないように努力してください。」と教示した。その結果、P300振幅は両群ともに、非裁決刺激よりも裁決刺激(被験者が模擬窃盗課題で選んだ貴金属の画像)で有意に大きくなった。すなわち、本実験の結果は模擬窃盗課題から1ヶ月後でも、P300による虚偽検出が可能であることを明確にした。但し、1ヶ月後群10名中2名が裁決項目を再認できなかった。そこで、平成16年度は、模擬窃盗課題の現場を画像呈示(録画は既に完了)して、再認促進のための事前手続きの開発を行う予定である。 なお、実験の一部は平成15年11月の中国四国心理学会で発表した。また、平成16年5月の日本生理心理学会では、直後群と1ヶ月後群の比較データを発表する予定である。
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Research Products
(1 results)