2005 Fiscal Year Annual Research Report
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15530487
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
森田 道雄 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (40109236)
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Keywords | 教科教室型校舎 / 教科センター方式 / ホームベース / 生徒の居場所 / 新しい校舎設計と学校運営 / 個性化教育 / オープンスペース / 新しい教育方法 |
Research Abstract |
本年度は、最終年度になるので、生徒の意識調査を計画通り実施するとともに、その対象校選定にも工夫を凝らし、いくつかの候補の学校から最適な選択に心がけた。その選定において、情報収集とともに、費用をあまり使わず、何度も訪問できる等の地理的条件と、学校長等の協力密度にも考慮を払い、結果として最適な学校を選ぶことができた。その集計結果は、研究報告の「資料編」という形で、15年度及び16年度に行った生徒の意識調査(悉皆調査)の結果も併せて収録した。 これらの本格的な分析にはまだ時間がかかり、いずれ論文としてまとめる予定であるが、通覧して言えることは、新しい学習環境設計に対する生徒の高い共感的受容が認められ、その設計効果を確認できる。これは比較しての考察が困難なので仮説的にしか言えないことだが、環境を生かす教職員側の意識・工夫・努力との相乗効果であり、ハード面の環境設計とソフト面での学校運営方式の両面から、学校における環境設計を検証する必要がある、ということが言える。その検証には、たとえば、同一校の時系列を比較調査するという手法が不可欠となるが、今回の研究は、三つの対象校を横断的に調査し、それぞれの環境設計の効果を、とりあえずは、一時完結的に考察したことにある。 生徒の意識調査を実施した学校は3校だったが、この間、同じ中学校の事例を4校、小学校の教室環境設計の特徴的な事例を5校、訪問調査した。これらは、いずれも、通常の学校建築とは異なる設計上の効果が公表されたものだが、その内容的な意味合いには差異が認められる。使い勝手が良くないという指摘もあったし、使いこなせていないと思われる空間もあった。これらは、実際に現地調査をしなければわからないものであり、今後の研究に生かせる貴重な経験をすることができた。 調査結果の本格的な分析は今後の課題として残るが、この間、こうした新しい学習環境設計の登場、普及というこの二〇年ばかりのスパンで文献研究を行い、学校建築の新機軸の意味理解と、その教育学的な議論のあり方などを考察し、報告書の論文(A4判本文43頁)として掲載した。総じて、学校建築学に対して、教育学の側から問題提起を試みる成果が得られた(論文・資料等合計234頁冊子として印刷)。
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