2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530491
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
藤井 佐知子 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (50186722)
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Keywords | 学校評価 / 自己評価 / 外部評価 / 学校教育計画 / フランス / 学校の自律性 |
Research Abstract |
最終年度となる本年度は、フランスにおける学校評価システムの構築の進展状況を明らかにし、それが教育政策全体の中でいかなる位置を占めているかを分析することによって今後の展望を探ることを目的に以下の手順で研究を進めた。 1.新「教育基本法」(フィヨン法)における学校評価の位置づけ・・・2005年に制定された新しい「教育基本法」の制定過程を分析しそこで学校評価がどのように論じられ、学校改革にどのような文脈で位置づけられているかを、国民討論と立法過程の分析によって明らかにした。その結果、いずれにおいても学校評価は前面に取り上げられていないこと、その理由として、今日の学校教育の質的向上という基本目標に対して学校の自律性を促す学校評価、という政策は有効でないとの認識があったことが明らかとなった。より直接的な子どもへの支援や教員の資質向上が喫緊の課題とされたことにより、学校の経営的側面は政策の主たる対象から外され、同時に質向上のための外部統制的な学校評価の全国的導入にも踏み切らない意向が政府サイドにみられることも解明した。 2.総視学官報告書の分析・・・この15年間の学校評価政策と実態を総括した総視学官報告書『フランスにおけるコレージュとリセの評価-批判的検討と展望』の分析から、今後の目指すべき方向性としてヨーロッパ委員会(CE)が提唱している「支援付自己評価」がモデルとされていることが明らかとなった。NPM理論に基づく第三者評価ではなく、あくまでも自己評価を中心に据えるフランスの学校評価の独自性が見出せた。
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Research Products
(4 results)