2003 Fiscal Year Annual Research Report
ノルウェーの社会科、宗教・道徳教育及び生活指導に関する比較教育学的調査研究
Project/Area Number |
15530524
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
北川 邦一 大手前大学, 社会文化学部, 教授 (10071292)
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Keywords | ノルウェー / 教育 / 平等主義 / 草の根民主主義 / 国民的独立 / 福音主義ルーテル教 / キリスト教 / 北欧 |
Research Abstract |
初年度の研究成果として、一つは現代ノルウェーの国民教育制度の最大の特徴である「教育を受ける権利の平等保障」(詳細:後記「11.研究発表」、科研費1999-2001年度研究基盤C(2)課題番号11610298及び「ノルウェーの高等学校」・大手前大学『社会文化学部論集』第3号2003年3月)の背景として、(1)主たる人種的言語的起源を同じくするデンマークの支配(1397〜)、スウェーデンの支配(1814年〜)からの文化・政治運動の後1905年に国民的独立し、人口小国ながら民主主義と平和、福祉を理念とし、国際的には両国やフィンランド、アイスランドと共にNordic Council(1953年〜)を形成している「北欧」の一国としての国の成り立ち、とりわけ第二次大戦以前から政権に参加し、戦後常に国会の最大政党であり過半の期間政権に与ってきた社会民主主義・労働党の影響力、(2)バイキング時代に入ってきたキリスト教とデンマーク支配下での宗教改革以後の福音ルーテル教とその下での学校教育の伝統、(3)農漁民の地域共同体に根ざして、外在的支配的文化の打破・言語的自立を目指し、国民的的独立を運動を主導した直接民主主義的運動の伝統を指摘した。 上記と関係して、2003年11月15日に開催された教育学関連15学会共催「教育基本法改正問題を考える」第4回「教育理念・目的の法定化をめぐる国際比較」公開研究会において、ノルウェーに関して文書資料を提出発表すると共に、要点の口頭報告をした。 他方、中、高等学校の社会科、歴史科に関するノルウェー教育研究省の定める教育過程とわが国の学習指導要領の比較研究に着手した。それから得た仮説的な見方によれば、国の定める教育課程の教育内容への拘束力はノルウェーの方が日本よりも強いにも関わらず、教員の教育の自由は日本より大きいように見える。その理由としては、政治的な左右両派の対立が、ノルウェーにおいては日本ほど大きはないことが考えられる。
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Research Products
(2 results)