2003 Fiscal Year Annual Research Report
言語的マイノリティ生徒の母語教育に関する日米比較研究
Project/Area Number |
15530557
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
太田 晴雄 帝塚山大学, 人文科学部, 教授 (10185275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ハタノ リリアン・テルミ 甲南女子大学, 文学部, 専任講師 (10340910)
牛田 千鶴 南山大学, 外国語学部, 助教授 (40319413)
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Keywords | 言語的マイノリティ / 母語教育 / バイリンガル教育 / ニューカマー |
Research Abstract |
バイリンガル/母語教育には様々なプログラムがあるが、今日、理想的な形態として期待されているのが、米国の一部の学校で実践されている双方向バイリンガル教育(two-way bilingual education program)と呼ばれるものである。このプログラムでは、米国社会での言語的マジョリティである英語話者の子どもとマイノリティ言語話者、たとえばスペイン語を第一言語にする子どもが、同じ教室で英語とスペイン語の2言語で授業をうける。原則的には、教室にスペイン語話者の教員と英語話者の教員が配置されるが、個別の授業は1人の教員が1言語で担当する。用いられる言語はローテーションによって、たとえば1日おきや1週間毎に変わり、同じ内容の授業を2言語で繰り返すことはしない。このプログラムでは、2言語の習得と2言語による教科学習の達成が意図されているが、これまでの研究結果によると、子どもの達成度はきわめて良好である。また、マイノリティ言語が授業言語として英語と対等に用いられることによって、子どもたちは学習活動などを通して相互理解を深め、偏見や差別の解消につながることが期待される。 このようなバイリンガル教育は日本の学校とは無縁な話だと考えるならば、それは誤りである。日本語を母語としない子どもが、クラスの半数近くを占めるという状況をすでに経験している学校もある。今後、「日本生まれ」が増加することを考えるならば、2言語にまたがって育つバイリンガル児童生徒の占める割合は、ますます高くなることが予想されるのである。
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Research Products
(2 results)