2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530567
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
首藤 敏元 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (30187504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 克美 愛知学院大学, 情報社会政策学部, 教授 (20135271)
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Keywords | 道徳教育 / 幼稚園教育 / 罪悪感 / 謝罪行為 / 約束 / 教育プログラム / 対人葛藤 / 教師の援助 |
Research Abstract |
小中学校と比べ、幼稚園教育には幼児の道徳発達を援助するプログラムはわずかしか存在しない。本研究の目的は、幼稚園における道徳教育プログラムを開発することである。本研究では、子どもの道徳発達に関する心理学的研究の成果を踏まえ、また幼稚園現場での実践事例の収集と分析を通して、幼児期の子どもの道徳的自律を支える環境づくり、道徳的体験を促す活動と仲間遊び、道徳教育に有効な絵本等の資料、教師の役割を包含した教育プログラムを開発する。さらに、このプログラムの評価を目的として、幼児の道徳発達と学級の道徳的雰囲気を測定する方法を考案する。 平成17年度は、幼児の罪悪感の発達と、幼児の対人葛藤場面での保育者のかかわり方について調査を行った。そして、謝罪行為、向社会的行動と罪悪感との関係を考察し、罪悪感の発達環境としての大人のかかわり方に関する自己評価項目を作成した。調査は幼稚園の4歳児と5歳児、小学校2年生と5年生、合計105名を対象に個別形式で行われた。保育者対象の調査は140名を対象に、質問紙形式で実施された。偶発的な加害行為の後、4歳児は自発的に謝罪行為はとるものの、補償行動や向社会的行動までは進まないことが示された。補償行為(向社会的行動)が出現するのは小学校にあがってからであった。5年生になると、過失を再発しない約束が可能になることも示された。保育者対象の調査からは、他人に被害をもたらす偶発的な加害行為場面で、4歳児であっても、補償行為を促す働きかけが行われることが示唆された。謝罪行為から補償行動、さらには適切な約束ができるようになる発達過程には、「心の理論」の発達が関連していることが考察された。
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Research Products
(5 results)