2004 Fiscal Year Annual Research Report
受験用古典からの脱却を図る新しい時代における教養教育としての古典教育に関する研究
Project/Area Number |
15530570
|
Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寺井 正憲 千葉大学, 教育学部, 教授 (50272290)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
首藤 久義 千葉大学, 教育学部, 教授 (20113897)
加藤 敏 千葉大学, 教育学部, 教授 (30214373)
伊坂 淳一 千葉大学, 教育学部, 教授 (60184454)
佐藤 宗子 千葉大学, 教育学部, 教授 (40162490)
鈴木 宏子 千葉大学, 教育学部, 助教授 (80272293)
|
Keywords | 古典教育 / 漢文教育 / 教養教育 / 古典教材 / 古典学習指導 / 読書活動 / 表現活動 |
Research Abstract |
本年度は、まず、古典や古典教育に関する新たな視点や情報を獲得し整理する作業を行った。そこで、古典、古典教育に関する専門的知識の提供を受けるために、放送大学助教授の島内裕子氏を招聘し、主に古典教育に関する講演と協議を行った。氏は、『徒然草』は教訓的に読まれがちだったが、作品の中に認められる世の中に対する違和感や潔癖感が現代の若者の気持ちにも通じ、それを追体験することで現代を生きる自分の精神の遍歴とも重なってくる優れた現代性を持つものであることを示した。ここから、古典を固定的で古めかしい価値観でとらえるのではなく、現代を見つめなおす瑞々しい感性や考え方を内在するものとして享受することが重要であるとの知見を得ることができた。研究分担者からも同様に、漢文教育や児童文学においても古典の新しい享受の在り方に関する知見が得られた。 ついで、本研究に携わる研究者は同じ千葉大学教育学部に所属するので、大学で古典教育をテーマにして、将来教員となる学生に研究で得られた知見を提供し、新しい教養教育としての古典教育の在り方についての見識を養えるように授業研究を行った。ただ、学生は受験のための古典教育を受けてきており、それが古典を学ぶことにも古典教育の在り方を考えることにも影響している。その半ば固定化した古典、古典教育に関するものの見方や考え方を揺さぶり、新しい視点から古典や古典教育に関して再認識し、新しい古典学習指導の構築を促す支援や指導を行った。その結果、古典教育が理解や表現に関する言語運用の知識や能力を伸長させること、また読書活動や表現活動を通して古典を学ぶことが現代に通じる新しいものの見方や考え方を生み出すということを理解させることができ、教養教育としての新しい古典教育の在り方に関する実践的な知見が得られた。
|
Research Products
(4 results)