Research Abstract |
1.類似探求授業についての理論的研究とその実践 類似探求授業とは,まず,1つの算数・数学的素材(数,図形,数量関係等)を提示し,それと算数・数学的に似ているものと似ていないものを教師が例示し,類似性に児童・生徒の意識を集中させた後,児童・生徒の話し合い活動をもとに,教師が順に示すものを似ている仲間と似ていない仲間に分類し,似ている仲間に共通する類似性を児童・生徒に見つけさせるという授業である。 この類似探求授業を効果的に実践するためには,もとにする算数・数学的素材として何を提示するか,また,似ている仲間・似ていない仲間として何をどのような順で示すかが重要な要素となることが分かり,整列可能な差異と整列不可能な差異,「地」といった視点から類似性の認知メカニズムを理論的に明らかにし,それを踏まえて,類似探求授業をさまざまな規模の学習集団で実施した。 その結果,類似探求授業は学習集団の規模に拘わらず有効であり,特に,算数・数学を苦手とする児童・生徒に効果的であることが分かった。 2.TAI(Team Assisted Individualization)の理論的研究とその実践 Slavinが提唱するTAIは,児童・生徒がチームを組んで,各チームが高得点を目指して,チームの各メンバーがお互いに励まし協力し合って共に学んでいくという授業であるが,この授業の特徴と意義を分析し,我が国でも実践可能な日本版TAIを開発した。それは協同学習に習熟度別指導を組み込んだ授業であり,ティーム・ティーチングや少人数の場合はそれをより細やかに行うことができる。これは,グループではなく,同一の目標に向かってお互いに協力し合うという,チームという学習集団の特性を利用した応個指導と言える。 3.研究報告書の作成 過去2年間と今年度の研究成果を研究成果報告書としてまとめた。
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