2003 Fiscal Year Annual Research Report
技術教育の加工学習における新しい教授方法の開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15530590
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
土井 康作 鳥取大学, 教育地域科学部, 教授 (20294308)
|
Keywords | 技術教育 / 加工学習 / 教授方法 / プライベートスピーチ / 作業進度 / 作業情報の流れ / 能力的特徴 / 作業処理 |
Research Abstract |
技術教育の加工学習では,生徒の間に作業進度に差が生じ,学習指導が極めて困難になる問題が恒常的にある。従来,この作業の進度差を解消するために,指導者は作業の速い生徒に作業を休止させたり,速い生徒に遅い生徒を個人的に指導させたり,指導者自身が遅い学習者を直接的に指導するなどしてきた。このような方法は,単なる対処療法的指導といえ,進度差に内在する問題を根本的に解決しているとはいえない。作業進度の問題を解決するには,教授方法上に内在する問題の解明と学習者の認知レベルの解明から同時並行的に研究を進めることが求められる。教室という学習空間で,交信される全ての作業情報をこれらの諸点にわたって,詳細に分析し,特徴を解明する必要がある。これらの解明は,欠かせない手続きである。しかし,これまで作業の進度差を問題とした総合的かつ実証的研究は一切なされおらず,加工学習における教授法は極めて立ち後れているのである。本研究では,加工学習における教授法の改善の基礎的知見を得ることを目的に,指導者側の作業情報の作成・伝達・制御する教授技能の解明と学習者側の情報処理過程の解明をおこなった。 補助金が交付された3カ年間のうちの初年度は,次の3つの視点から,指導者の教授技能,作業情報の流れ,さらに作業に遅れがちな学習者の作業処理の能力的特徴を解明した。(1)指導者の教授技能を授業設計・情報伝達・制御の視点から分析した。(2)教室における作業情報の流れを,指導者や学習者の発話を分析した。(3)作業に遅れがちな学習者が,作業の困難さを感じたり,指導助言を求めたりしたか、作業動作とプライベートスピーチ(つぶやき)を分析した。その結果,作業に遅れがちな学習者の特徴は,自己完結的な情報処理と行動をしているという知見を得た。
|