2005 Fiscal Year Annual Research Report
技術教育の加工学習における新しい教授方法の開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15530590
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Research Institution | Tottori university |
Principal Investigator |
土井 康作 鳥取大学, 地域学部, 教授 (20294308)
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Keywords | 技術教育 / 教授法 / 加工学習 / 作業段取り / 発話分析 |
Research Abstract |
本研究は,技術教育の加工学習における新しい教授方法の開発するための基礎研究である。本研究の目的は,新しい教授方法として作業前の作業段取りの導入を設定した場合,1)指導者の教授方法(加工学習の授業設計・作業情報の伝達・作業情報の制御)を解明する。2)学習者の発話及び行動の分析,指導者と学習者間の作業情報伝達の流れ解明する。3)学習者のプライベートスピーチ(PS)の分析より,学習者の作業の困難さと不安感の解明することにある。方法は,加工実習(旋盤)に作業段取りを導入した実験群としなかった統制群の発話と行動を収録し,両群の違いを解析した。新しい教授方法として作業前に作業段取りを導入した実験群は,(1)作業処理時間を短縮する教育的効果を示すこと。(2)精度に効果を及ぼさないこと。(3)作業の情報の流れを教師から友人へと変化させること。(4)作業の内容を理解し,自分の考えを持つようになること。(5)目標を明確に理解し,現状との比較が出来るようになること。(6)友人とより多くの話題について話すようになること。(7)作業中の問題を友人との関係で解決するようになること。(8)教師とより多くの話題について話すようになること。(9)作業内容を明確に把握するようになること。以上の9点の知見を得た。 つまり,作業段取りの導入によって, 1)PSを抑制する働きがあり,この抑制は,作業回数を重ねる毎に,作業段取りによる行動目標が明確化され,かつ作業が自動化される中で,外言的なPSによる調整言語の依存から,内言による調整に推移する過渡的現象を示したものと推察した。 2)作業段取りの導入は,友人と関わった作業を促進させ,教師に対する依存度は低くなり,自律的な作業に向かわせることが分かった。 技術教育の加工学習において,作業段取りの導入は,学習者を主体的かつ自律的に作業に取り組ませるという諸点において,新しい教授方法として極めて有効であることが分かった。
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Research Products
(5 results)