2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530605
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
権 五定 龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (30288641)
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Keywords | reciprocity / egocentricity / 国家的有用性 / 普遍的有用性 |
Research Abstract |
2003年度に引き続き、韓国における日本の歴史教育-教科書批判に関する資料を収集しながら、2004年度は、批判の構造を分析し、その結果を韓国の社会教科教育学会で発表、専門家達との意見交換、討論を重ねて来た。その過程を整理すると次の通りである。 1)批判の分析:韓国の社会科系大学院生に分析の指標についてオリエンテーションを行い、指標に基づいて批判(整理された資料)の傾向性を判断、分類する作業を進めた。 2)指標の修正等:分析作業の過程で指標の不正確性、不適切性が発見される度に指標の再検討を行い、最終的に批判の始点(reciprocity⇔egocentricity)、批判の目的(国家的有用性⇔普遍的有用性)、批判の内容的根拠(学問の成果⇔マスコミの情報)、批判の方法的根拠(事実関係の認識⇔主観的価値判断)の批判を確定し、分析を続けて行った。 3)分析結果の発表:分析、分類の結果、韓国における日本の歴史教育批判は、両国関係を特殊関係として前提した上で行われており、egocentricity、国家的有用性の追及、マスコミの情報、主観的判断に傾斜していることが明らかになり、その結果を韓国社会科教育学会にて発表した。(6月・11月2回) 4)専門化との意見交換・討論:分析の結果、韓国の対日批判に対する批判の要素が多いという点について、韓国の社会科・歴史教育学者との意見交換や討論を行い(3回)、最終的はまとめ作業に入った。 5)今後の予定:教育問題をめぐる国際摩擦を、日韓の「特殊関係」だけでなく、「普遍的現象」としてとらえて行く研究に発展させて行きたい。その観点から、韓国-中国、ドイツ-EU諸国、アメリカ-メキシコなど隣国間の歴史教育問題を分析し、その結果を、本研究の結果を合わせて公表(単行本)する予定である。
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