2004 Fiscal Year Annual Research Report
障害学生のための支援教育プログラムの教育的評価に関する総合的研究-健常学生の自己効力感を指標として-
Project/Area Number |
15530616
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河内 清彦 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50251004)
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Keywords | 健常学生 / 障害学生 / キャンパス内交流 / 自己効力感 / 障害者への関心度 / 援助行動 / ボランティア活動 / 友人関係 |
Research Abstract |
本年度の研究では,障害学生との交流に対する健常学生の抵抗感を軽減させる方策を立てる前提として,様々な障害を有する学生との交流に対し健常学生が示す抵抗感と障害者との自主的な接触方法の違いとの関連に着目し,その関連を解明するため,569名の健常学生(男子228名,女子341名)に質問紙調査を実施した。河内(2004)が作成した「交友関係」と「自己主張」の尺度の交流対象となる刺激人物の障害条件は,「視覚」「聴覚」「運動」「健常」の4条件とした。また,障害者との自主的な接触方法として,町中での一時的な援助行動(「助力」),家事の手伝いなどの親密な援助行動(「親密」),ボランティア活動(「支援」),障害者との友人関係(「友人」)を選び,それに障害者への関心度(「関心」)を加えた。両尺度の4障害条件を基準変数に,五つの接触方法を説明変数とした数量化理論I類の結果によると,刺激人物の障害条件とは関係なく,「関心」の変数では関心の強い者が,「助力」の変数では援助頻度の多い者が両尺度で,また「交友関係」尺度では「友人」の変数で障害のある友人のいる者が障害学生との交流に対し抵抗感が弱かった。また,友人の有する障害種別と刺激人物の4障害条件との間には障害内容に応じた関連のあることが認められた。これに対し,「支援」の変数では「聴覚」の障害条件でしか両尺度とも関連が認められなかった。現在活動している者は抵抗感が弱かったものの,過去の経験者は未経験者よりも抵抗感が強く,従来の研究では報告されていない負の援助成果が見出された。一方,「親密」の変数では,両尺度のどの障害条件でも関連は認められず,抵抗感の弱いことと援助行動など障害者との自発的な接触とが単純な関係にないことも明かとなった。 以上のことから自発的な接触経験の有効性とともに負の援助成果についても考慮しなければならないことを指摘した。
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Research Products
(1 results)