2005 Fiscal Year Annual Research Report
重度の発達障害のある児童・生徒に対する社会参加に焦点をおいた教育法の開発
Project/Area Number |
15530619
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
渡部 匡隆 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (30241764)
|
Keywords | 発達障害 / 広汎性発達障害 / 注意欠陥・多動性障害 / アスペルガー障害 / 社会参加 / 学校適応 / 包括的支援 |
Research Abstract |
本研究は、学校や地域への参加に著しい困難や制約をもつ重度の発達障害のある児童・生徒の社会参加を高めるための教育支援方法の開発を目的に過去2年間にわたって研究を進めてきた。本年度は、研究の最終年度にあたり、いくつかの研究課題に関する臨床研究と新たな教育支援方法の提案に向けた研究の体系化を行ってきた。 臨床研究では、児童・生徒に対して(1)社会的スキル、(2)コミュニケーションスキルの支援方法とプログラムの開発について引き続き検討を進めてきた。また平成17年度の臨床研究の新たなテーマとして(3)自己理解の支援を取り上げ、2名の発達障害のある児童・生徒を対象として自己理解のためのプログラム開発を実証的に検討した。自己理解の問題は今後さらに検討を加える必要があるが、予備的な支援プログラム開発は一定の成果が得られたと考えている。 加えて、平成17年度の臨床研究の一環として、発達障害のある児童・生徒の保護者に対してその支援方法の検討を行った。4名の保護者を対象に、子どもの行動をより理解するための方略や、継続的な支援そのものが果たす役割を明らかにしつつ週1回のペースで個別的な支援を継続した。その結果、4名の保護者から支援の有効性が報告されるとともに、子どもの行動の変容や安定が保護者への支援と高い相関関係にあることが示唆された。 これまで3ヶ年にわたる臨床研究、先行研究の調査、国内外の視察をもとに広汎性発達障害のある児童・生徒に対する教育支援プログラムの体系化について作業を進めてきた。その骨子は、平成17年度の日本特殊教育学会、並びに日本行動分析学会において報告をした。今後、成果報告書の作成作業のなかで教育支援方法について具体化するとともに、残された課題について明らかにする。また、さらに臨床ケースを拡大して教育支援方法の一般化と進めていくとともに、その普及に向けた取り組みが必要である。
|
Research Products
(15 results)