2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530625
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
若松 昭彦 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (70230919)
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Keywords | 自閉性障害 / 表情 / 動画 / 幼児 |
Research Abstract |
今年度の前半は、前年度にデータ収集を終えた3〜6歳の一般幼児約20名ずつの動画による表情理解課題の分析を行った。その結果、「口を開けた怒り」と「目・眉部のみの驚き」の表情では、各年齢児間の平均正答数に有意差は見られないが、その他の表情については、5、6歳児の成績は同等であるが、3歳児の成績はそれらと比べて有意に低く、4歳児はその間に位置していることが示された。しかし、典型的な怒り、悲しみ、驚きの表情では、3歳児でも正答率が50%以上に達しており、基本的な表情の理解は可能になりつつあると考えられた。また、全般的に女児の成績が男児よりも高くなっており、年齢別の平均正答数を見ると、男女差が生じるのは4歳以降であり、6歳になると差が少なくなる傾向がうかがわれるが、各年齢の男女数が少ないので、より人数を増やした検証や、学齢児も対象にしての検討などが必要である。また、誤答の分析からは、「口を開けた怒りの表情で驚きを選択」と「目・眉部のみの驚きの表情で中性を選択」は全年齢で誤答が多くなっており、前者では、特に低年齢児で、選択肢に用いたイラストの開いた口を手がかりにしており、高年齢児では、怒りの混ざった驚きと判断した可能性が予測された。また、後者では、表情変化の見逃し、目・眉部の動きには気づいているものの、驚きとは判断できずに消去法的に中性を選択、イラストの大きめの目を手がかりにした等の可能性が推測された。さらには、IQの高い自閉性障害群の成績は5、6歳児と同等であり、IQの低い群は3,4歳児のほぼ中間にあることが示唆された。 しかしながら、その後、本年度後半より特許出願の準備を開始したため、平成14年度実施の表情理解学習プログラムを用いた研究をまとめ直しての投稿も、現在差し控えており、上記の研究も含めた成果発表等は今後行っていく予定である。
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