2005 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児の社会的不適応を改善するための学校をベースにした指導法の開発
Project/Area Number |
15530627
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
佐藤 容子 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (50196284)
|
Keywords | 学習障害児 / 社会的スキル / 社会的不適応 / 社会的スキル訓練 / ブースターセッション / 孤独感 |
Research Abstract |
通常の学級に在籍する学習障害児は、学習上の困難だけでなく、仲間関係にも問題を抱えやすく、不登校、いじめ、非行、引きこもりなど、二次的な問題のリスクも高いため、この領域についても教育上の特別な支援を必要としている。 本研究は、学習障害児の行動傾向が顕著になり始める時期の小学2年生を対象として、このような学習障害児の社会的不適応を改善する目的として実施した。まず、平成15年度に行ったいくつかの尺度(自己報告による孤独感尺度、社会的コンピテンス尺度、教師評価及び自己評価による社会的スキル尺度、学級における人気度投票)によれば、学習障害児は、健常児に比べて孤独感が強く、その他の尺度の全てにおいて、健常児よりも社会的不適応の状態にあることが明らかになった。平成16年度には、この結果に基づいて、文脈論モデルに基づくソーシャルスキルトレーニングを学級全体に対して行い、その効果性を、学習障害児と健常児の両側から評価、検討した。その結果、社会的スキルトレーニングは、これらいずれの尺度においても、学習障害児の社会的適応を改善する効果がみられた。 平成17年度には、このような文脈論モデルに基づく社会的スキルトレーニングの効果が、学級のメンバーが変わった1年後にどの程度維持されているのかを査定するために、平成15年度と同様の尺度を実施した。 その結果、1年後には全ての尺度で、ベースライン時よりは多少改善されていたものの、訓練直後よりは明らかに悪化していた。そこでブースターセッションを行ったところ、元の訓練時の1/3のセッション数で、各尺度の結果が急速に改善した。
|