2003 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害の視点からみた少年非行の分析と予防についての研究
Project/Area Number |
15530628
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
林 隆 山口県立大学, 看護学部, 教授 (20253148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 仁志 山口県立大学, 看護学部, 助教授 (00172429)
木戸 久美子 山口県立大学, 看護学部, 助教授 (40269080)
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Keywords | 少年非行 / 軽度発達障害 / 児童相談所 / 注意欠陥 / 多動性障害 / アスペルガー障害 / 精神遅滞 / 学校・教育環境 / 発達特性・個性 |
Research Abstract |
[目的]少年非行の背景にある発達障害についての分析は十分でないのが実状である。学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(AD/HD)、高機能自閉症など軽度発達障害の子ども達が、発達特性に合わない環境刺激により、問題行動から少年非行に繋がる事例も少なくないと考え、少年非行臨床の一翼を担う児童相談所の心理判定員の少年非行と発達障害に関する意識調査をアンケートにより実施した。 [方法]山口県内の4児童相談所12人の心理判定員を対象とした。17項目にわたる非行内容について、「家庭環境」「学校・教育環境」「性格・特性」「社会環境」「地域社会」「発達障害」の関与の度合いについて尋ねた。発達障害の関与が考えられる場合、想定される発達障害を精神遅滞、LD、発達性協調運動障害、言語障害(表出性、受容-表出混合性)、自閉性障害、アスペルガー障害、AD/HD、反抗挑戦性障害、行為障害の中から選択した。 [結果]アンケート回収率は58%。関連要因は家庭環境23%、本人の性格・特性20%に対し発達障害9%だった。関連する発達障害は精神遅滞28%、行為障害26%、反抗挑戦性障害21%に対し、アスペルガー障害7%、AD/HD9%だった。発達障害との関連が中等度(かなり関与する)以上と認識された非行項目は(1)障害・暴力行為(2)器物破損のみだった。 [考察]調査の結果から心理判定員は破壊的な非行で発達障害との関連を意識していることが明らかになった。関連要因としては家庭環境が第一番目に上げられたが2番目は本人の性格・特性だった。今回の結果では関与する発達障害として精神遅滞が最も多く、軽度発達障害が関与するという認識は少なかった。軽度発達障害は障害と認識医されがたく、関連要因としては2番目の「性格・特性」の中に軽度発達障害が紛れ込んでいることも(経験的に)想定できる。 [次年度の予定]今回の調査結果を基礎にして「本人の性格・特性」の内容を発達障害の視点から明らかにすべく、2年度は全国の児童相談所の心理判定員を対象に調査を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 中村仁志, 木戸久美子, 林 隆, 芳原達也: "山口県における小学1年生の学校不適応行動の実態-AD/HDおよびODDの診断基準となる行動との比較"学校保健研究. (印刷中). (2004)
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[Publications] 中村仁志, 林 隆, 木戸久美子, 澄川桂子: "健常男女のADHD RSを用いた行動比較"山口県立大学看護学部紀要. 8巻1号. 13-18 (2004)
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[Publications] 木戸久美子, 林 隆, 中村仁志, 藤田久美, 芳原達也: "知的障害をもつ子どもの性に関する親の意識についての研究-親と子どもの性差による研究-"発達障害研究. 第25巻(印刷中). (2004)
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[Publications] 林 隆: "学習障害を持つ子が変わった「この指導」"学校運営研究. 第43巻3号. 44-45 (2004)
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[Publications] 林 隆: "特殊教育の変革と小児科医の役割"山口県小児科医会会報. 第15巻1号. 1-14 (2004)
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[Publications] 林 隆: "障害をもつ子どものための保育実践(水田和江・藤田久美編)"学文社(出版予定). (2004)