2006 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害養護学校における補助・代替コミュニケーションの活用が教育に及ぼす効果
Project/Area Number |
15530630
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
伊藤 英夫 広島国際大学, 心理科学部, 教授 (90134775)
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Keywords | AAC / コミュニケーション / 視覚支援 / 授業改善 |
Research Abstract |
本年は、4年間の調査・研究を総括した。 1.アンケート結果 1年間のAACに関するスーパーバイズで、AACに関する知識、授業改善に寄与するという意識、使ってみようという機運など、両校とも一定の成果を上げることができた。それぞれの地域性、学校の特色や背景などによって異なる点もあったが、AACを導入することにより、これまでの音声言語主体の授業の在り方に問題提起をし、個々の児童生徒に対するアセスメントの在り方、特に言語理解と言語表出を分けてアセスメントをする点、コミュニケーションに対する考え方、障害特性を配慮し、自閉症を有する児童生徒への視覚支援の有効性などに対する認識を浸透させ、授業改善へのきっかけを作ることができた。 2.AACの導入に関する研究 養護学校におけるAAC導入に関する共同研究では、以下の研究を行った。 緘黙傾向の中学部ダウン症児へのPICの導入では、問題行動や保護者のコミュニケーションニーズに対して、担任が音声言語の限界を理解し、生徒自身の選択でPICを導入した結果、ストレス、問題行動の半減、家庭生活の改善、コミュニケーションの促進に伴う音声言語の促進などを通して、授業改善、QOLの改善などが示された。 指示待ち傾向の自閉症生徒の視覚支援では、クラス内で自発行動を促進し、自分の意思の発信できるようになることを目的として行われ、視覚支援を行った結果、学校生活での見通しが立ち、指示待ちが少なくなり、自発行動が促進され、意欲も高まり、音声言語の促進も確認された。 小学部でのビッグマックの導入は、VOCAの使用が初めての教員への導入に関する研究として行われた。AAC事態があまり導入されていない養護学校での実践であったが、導入を始めて経験した教員は、対象児が使用している姿を見て、ある程度の効果を実感したものの、他の教員への理解など、導入には困難を感じている。 携帯電話の文字入力機能の利用は、通信手段ではなく、文字入力したものを相手に提示してコミュニケーションを図るもので、スムースなコミュニケーションと情緒の安定、かんしゃく行動の減少などが確認できた。これまで重度の自閉症児と思われていた対象児が、さまざまなことをコミュニケーションすることにより、担任のコミュニケーションに対する考えや、生徒理解が深まっていく過程が示された。
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