2005 Fiscal Year Annual Research Report
重度・重複障害児の視覚機能の特性と評価-脳機能の関連からの分析的アプローチ-
Project/Area Number |
15530636
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐島 毅 筑波大学, 人間総合科学研究科, 助教授 (20241763)
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Keywords | 重度・重複障害 / 視覚機能 / 脳機能 / 評価 |
Research Abstract |
本年度の研究実績の概要は,以下の通りである。 (1)頭頂葉損傷に起因する視空間認知障害のある肢体不自由児を対象として,チェインジングボードを用いて運動フィードバックの明確な教材を用いて視覚-運動協応課題による視覚活用学習を実施し,その効果を事例的に検証した。その結果,コントラストレベルおよびコントラストポラリティに配慮した教材としてチェインジングボードを活用することによって、課題達成レベルにポジティブな効果のあることが検証された。 (2)同様に,重度弱視幼児においても,コントラストレベルおよびコントラストポラリティに配慮した教材の活用は課題学習の達成度にポジティブな効果のあることが検証された。 (3)一方,こうした頭頂葉損傷による視空間認知障害のある対象児の場合は,書字や読字が可能であっても,立体のおける三次元的操作においては2歳半程度の視覚認知能力レベルである事例が多いことが指摘された。 (4)この点について,今後は立体的刺激による視機能および視知覚の評価法の開発・検討が非常に重要であることが示唆された。 (5)肢体不自由と知的障害ともに重度の事例においては,視標提示に同起する視反応の観察の困難さが指摘され,VTR分析の信頼性・妥当性の基準の検討が必要と考えられた。また,視線によるコミュニケーションにおける課題を指摘した。 (6)本研究の成果は,学会発表等において公開するとともに,都道府県教育委員会の現職研修,肢体不自由養護学校研修会,臨床発達心理士研修会等において研究代表者の講義を通して現場に普及をはかった。その成果は,報告書としてまとめ盲学校および肢体不自由養護学校に配布する。
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Research Products
(3 results)