Research Abstract |
平面代数曲線の有理関数体に関する基礎的研究を進めた.とくに,重要な不変量であるゴナリティーについて研究した.従来から,一般な曲線の性質については,ブリル・ネーター理論等の一般論があり,かなりのことが理解できるのであるが,特殊な曲線の研究はそれ程なされていない.特異点を持つ平面代数曲線のゴナリティを決定するいくつかの判定法とゴナリティを下から評価する不等式に関する結果を論文「Lower bounds for the gonality of singular plane curves」としてまとめ,現在投稿中である.主な結果は以下に述べる2つの定理である.第一の結果を述べるために用語を導入する.d次平面曲線で,特異点の最大重複度がvであるものを(d, v)型曲線という.2次関数Q(x)=x(x-v)+d+δ-vを定義し,q=Q([d/v])とおく.また,ゴナリティを記号Gで表すことにする. 定理I (d, v)型既約平面曲線Cについて,d/v≧2のとき,次が成立する. (1)q≦0であれば,G=d-vである. (2)q>0のときには,不等号G≧d-v-qが成立する. 第2の結果には,特異点の重複度によって定義される不変量η,σと関数x_3(η,v, q)を用いる. 定理II (d, v)型既約平面曲線Cについて,η≧4/vであれば,非負整数qに対して,d/v>x_3(η,v, q)およびd/v≧σ一q/vであれば,不等式G≧d-v-qが成立する. これらの結果によりゴナリティが計算できる例を構成することもできる.
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