2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 正樹 京都大学, 大学院・理学研究科, 理事 (50025459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 淳 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70191062)
加藤 文元 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50294880)
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Keywords | ベクトル束 / 丹後束 / 還元列 / 変形 / 障害理論 |
Research Abstract |
5次元射影空間上で直線束の直和に分解しない階数2のベクトル束は、唯一丹後束のみが知られている。しかし、このベクトル束は基礎体の標数が2という極めて不自然な状況のみで構成が可能である。従って、このべクトル束の局所変形、大域的な挙動すなわちモデュライの計算は専門家の多くが試みたい問題である。そのためには、このベクトル束と自己準同型層などそれに付随するベクトル束のコホモロジーの計算が欠かせない。 そのための基礎として直線束の直和による還元列の計算を前年度に実行したが、これに現れる多項式は整数係数と見なされる。従って、この結果を標数0の体上の列と考えられるが、これから構成される連接層はペクトル束に成らず、torsion sheafとなってしまうことが分かった。この結果は丹後束の一般標数への平坦な変形が存在しないだろう事を示唆している。 丹後束のコホモロジー計算のアルゴリズムの基礎となるのは、次数一定の多項式が作るベクトル空間の間の斉次多項式を掛けることにより定義される線型写像の行列表現である。このアルゴリズムはそれほど難しくないが、これを組み合わせてコホモロジー計算に結びつけるにはデータ量が多く成りすぎる。余分なデータを整理するアルゴリズムの方針がようやく見えてきたのが現状である。 上述のように丹後束の一般標数への平坦な変形の存在が疑われるので、自己準同型層の2次コホモロジーにある障害の状態を知る(Kodaira-Spencer写像の状態を決定する)ことは極めて興味ある問題であり、丹後束の病理研究の道具になると思われる。今年度は障害理論のアルゴリズム開発に取りかかり、具体的な方向を確立した。
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Research Products
(3 results)