2005 Fiscal Year Annual Research Report
リーマンゼータ凾数論:リー群上のヒルベルト空間への埋め込み
Project/Area Number |
15540047
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
本橋 洋一 日本大学, 理工学部, 教授 (30059969)
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Keywords | 保型表現 / ゼータ函数 / 素数分布 / 保型L函数 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は二つの主題に分かれる。[1]L-函数と[2]素数分布論である。勿論これらは互いに深く関係している。 [1]昨年度の主結果は「保型L-函数について、リンデレーフ常数<1/3の確立」であった(これは極めて著名な数学誌Acta Mathematica第195巻に昨年末出版掲載された:海外共同研究者M.Jutila教授との共著Uniform Bound for Hecke L-Functions)。本年度は先ず、これをRankin-Selberg L-函数に拡張し、P.Sarnak教授を指導者とするPrinceton学派の中心的な結果を大きく凌駕する結論を得た。それは、これら一群のL-函数に対してリンデレーフ常数<2/3の確立を主張するものである。再び、Jutila教授との共同研究結果である。一様性につき多少の未完成さは残るが、これの改良は至難であろう、と専攻研究者から極めて高い評価を受けている。概要は、昨夏米国にて開催された国際会議Multiple Zeta-FunctionsにてJutila教授によって発表された(本橋は講義の都合にて参加出来ず)。証明の詳細は米国数学会より報文として近く出版される予定である(編集者はD.Bump, D.Goldfeld, S.Friedberg)。 [2]昨年、整数論分野は素数分布における大発見を得た。これはD.A.Goldston, J.Pintz, C.Y.Yildirim 3氏(GPY)によるものであり、古来著名な「双子素数予想」への初の確実な接近と考えられている。本橋は彼らの錯綜した議論を極く透明とし、「驚嘆すべき」と評される簡潔な証明を得た。経緯はScience(May 27,2005)に詳しい。論文はGPY3氏と本橋の4著者にてSmall Gaps between Primes Existとして近く発表される運びである。 実は、これら2分野に共通する背景があり、それはJu.V.Linnikによる「散乱法」である。その基底には、本橋等による「加法的約数問題」に関するスペクトル理論がある。次年度はこれの発展に努める。
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Research Products
(3 results)