2005 Fiscal Year Annual Research Report
リッチ曲率が平坦な多様体およびそのモジュライ空間の大域的構造
Project/Area Number |
15540062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今野 宏 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20254138)
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Keywords | 微分幾何学 / シンプレクティック幾何学 / ハイパーケーラー商 / リッチ平坦 |
Research Abstract |
リーマン多様体のホロノミー群はその幾何構造を定める。これらは、ある基本的な仮定の下で7種類に分類されているが、このうち4種類はリッチ平坦となり、微分幾何学、複素幾何学、数理物理学等さまざまな側面から研究されている。これらのホロノミーを持つ幾何構造のモジュライ空間の局所的な構造は、周期と呼ばれる、その幾何構造を特徴付ける平行な微分形式の表すde Rhamコホモロジー類でパラメーター付けされている。さらに、これらの幾何構造は周期に応じて変化し、特にその極限として特異点を生じる。すなわちリッチ平坦計量が退化してゆく。そこで、ハイパーケーラー構造の退化の局所モデルという視点からハイパーケーラー商を研究した。今年度は、特異点も含めたトーリックハイパーケーラー多様体の族を研究し、周期の変化に応じてどのように特異点が生じるかを記述した。さらにその特異点解消の構造を研究した。昨年度まではハイパーケーラー商を、実シンプレクティック幾何の手法で研究してきたが、今年度の研究は、複素シンプレクティック幾何の枠組における研究であった。シンポジウム'S`ymplectic varieties and related topics'(北海道大学、2005年11月)の報告集にその概要を記載した。その他、コンパクト多様体上のリッチ平坦計量の退化を記述するために、次の2つが重要であることがわかってきた:1、ルジャンドル変換によるリッチ平坦計量の記述、2、トーリック多様体の超曲面の、トロピカル多様体上のトーラスファイブレーションとしての記述。これらの道具を習得し、さらに目的にあうように改良することが現在進行中である。
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Research Products
(1 results)