2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540150
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
河上 肇 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (20240781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土谷 正明 金沢大学, 工学部, 教授 (50016101)
小林 真人 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (10261645)
坂 光一 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (20006597)
三上 健太郎 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (70006592)
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Keywords | 逆問題 / 熱方程式 / 拡散方程式 / 領域形状推定 / 混合型境界条件 / Dirichlet to Neumann写像 |
Research Abstract |
本研究の目的は、領域の境界の一部分の形状が未知であるとき、その形状を推定する逆問題の考察である。ただし推定のためのデータとして、この領域における熱方程式の初期値・境界値問題の解の部分的データを用いる。 本研究に先立つBryan-Caudill[BC](Inverse Problems、1998)は、ノイマン境界条件下で問題を考えた。これに対し、Y.Moriyama(守山)[M](金沢大学自然科学研究科修士論文、2002)はより現実的な混合型境界条件下で問題を考えた。本研究でも混合型境界条件を採用しているが、さらに領域をリプシッツ有界領域と区間の直積とし、熱方程式は変数係数(その滑らかさは概ねリプシッツ連続)とした([BC]、[M]ともに領域は一般次元の直方体で熱方程式は定数係数である)。 本研究では、[BC]、[M]も行っているように、問題を変数変換し一つの基準領域で考え、所与の方程式を線型化をするという方針を採用した。昨年度中に、弱形式のGateaux微分という枠組でこの部分の研究を完成させることが出来たが、得られた線型化問題から一意復元定理(データから領域の未知形状を一意的に推定出来ることを示す定理)を示す部分が未完であった。昨年度は、これを示すためには、拡散係数を与えるテンソルに条件を追加することが必要であろうと予測していた。しかし、今年度の研究において、そのような条件を追加することなく一意復元定理を示すことができた。なお、この一意復元定理を示す際には、熱方程式に関わるDirichlet to Neumann写像の値域の稠密性を示し、それを用いた。 現在、以上の研究結果のノートを英文にまとめ、河上・土谷と守山氏の共著論文として投稿する作業を進めているところである。また、研究の途中経過を日本数学会年会(平成16年3月29日)にて、河上・土谷と守山氏が共同で発表した。
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