2004 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的シュレディンガー作用素の一般固有関数と擬微分作用素論に関連する諸問題
Project/Area Number |
15540178
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
楳田 登美男 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (20160319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 千里 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (30028261)
保城 寿彦 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (40211544)
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Keywords | 相対論的シュレディンガー作用素 / 一般固有関数 / 擬微分作用素 |
Research Abstract |
一般の空間次元で、質量パラメータがゼロの場合に、相対論的シュレディンガー作用素の一般固有関数の無限遠方での漸近挙動をポテンシャルの減衰の速さと次元の大きさに応じて精密に解明するためにさまざまな計算を行った。奇数次元と偶数次元で、技術的な難しさに違いがあることを解明した。まず、奇数次元の場合に、ポテンシャル項のない相対論的シュレディンガー作用素のレゾルベント核を具体的に求めるための計算を進めた。その結果、空間3次元の場合と同様に、一般奇数次元の場合にも、ポテンシャル項のない相対論的シュレディンガー作用素のレゾルベント核は特異性の強いリース・ポテンシャルとマイナス・ラプラシアンのレゾルベント核、および性質の良い積分核の3つからなりたっていると予想されることがわかった。道具立てとして必要な、リース・ポテンシャルに関する不等式を新たに導くことに成功した。極限吸収原理に基づいて導入される関数が相対論的シュレディンガー作用素の一般固有関数になっていることを証明するうえで、避けて通れない問題であるところの、マイナス・ラプラシアンの平方根の超関数への作用を、奇数次元のみならず、一般の空間次元で解明することに成功した。相対論的シュレディンガー作用素の一般固有関数が平面波からどの程度ずれているかを表す関数に対して、ゾンマーフェルドの放射条件が成り立つことを一般次元で確認した。また、偶数次元における解析の困難が、如何なる種類のものであるかについても解明することができた。この困難は、波動方程式の解の性質の解明が奇数次元と偶数次元で異なっており、偶数次元の方がより困難である事情と類似のものであることが明らかにされた。
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Research Products
(1 results)