2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540198
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渚 勝 千葉大学, 理学部, 教授 (50189172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石村 隆一 千葉大学, 理学部, 教授 (10127970)
松井 宏樹 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (40345012)
伊藤 隆 群馬大学, 教育学部, 教授 (40193495)
和田 州平 木更津高専, 助教授 (00249757)
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Keywords | 完全正写像 / 完全有界写像 / 作用素空間 / 数域半径 / シュア-積 / ハーゲラップテンソル積 / 数域作用素空間 / 作用素環 |
Research Abstract |
作用素空間、つまりノルム空間に行列ノルムの構造を与えることによって、その空間はヒルベルト空間上の有界線形作用素が作るノルム空間と見ることができる。これは抽象的なノルム空間に具体的な作用素の構造を見出すことができるという、Ruanによる成果であり、作用素空間の理論はEffros-Ruan, Paulsen, Pisierらにより深められた。 有界線形作用素においてノルム、スペクトルは、その特徴を現す量として重要であるが、数域、数域半径という量もそれらと密接な関係があり、多くの研究がなされている。作用素のノルムは、その写像によるノルムの変化として記述されるが、数域半径もノルムと同様な性質を持つので、作用素の数域ノルムを考えることができる。 この研究は、シュア-積と呼ばれる特殊な形の線形写像に対するHaagerupの研究に端を発する。これはHaagerupテンソル積と呼ばれる作用素空間として良い構造を持つテンソル積に関係するなど作用素空間論で中心的な話題となる。Haagerupによるシュア-ノルムの特徴付けは、安藤により有限次元写像の場合にシュア-写像の数域ノルムの特徴付けに拡張された。この安藤による結果の拡張は既に前年度に得たが、Haagerup積のBanach空間としての特徴付けにヒルベルト空間を経由する写像を用いることができる。これに対応する結果としてHaagerup積の数域版としてヒルベルト空間を経由する四角形を考えることができる。また、このHaagerup積の数域版という概念は、数域ノルム構造を持つ作用素空間という概念を生み出し、従来の作用素空間の構造に加えて、数域作用素空間というより精密な構造を与えることができた。 行列構造、完全正値性、完全有界性の概念はヒルベルト空間が現れるところに必須の概念であり(例えば量子情報理論なども)、上記の成果の応用を考える上で、作用素の基礎理論として、正の作用素の性質、量子符号化と完全正写像(チャンネル)などとの関わりを対象に、さらなる展開を進めているところである。
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Research Products
(3 results)