2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15540201
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
上村 豊 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (50134854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 克則 九州大学, 数理学研究院, 教授 (00176538)
坪井 堅二 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (50180047)
中島 主恵 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (10318800)
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Keywords | 非線形問題 / 逆問題 / Marchenkoの方程式 / カオス / 周期軌道 |
Research Abstract |
本研究の目的は非線形問題に対し,逆問題の視点により観測データから非線形性や支配方程式を決定するスキームの開発と応用にある.今年度は次の問題を考察し,記載の結果を得た. 1.温度の測定から流れを決定する問題 海洋循環による熱量の輸送の定常の状態を記述するモデル方程式(流速を含む)を考察し,海洋循環が熱の輸送に及ぼす影響の定性的研究を行った.数学的には,この問題は1階の係数に流速に相当する項を持つ楕円型偏微分方程式をRobin境界条件のもとで解く問題であり,もとの問題に適応した適切な遠方での減少度のもとでFourier変換を用いて解くことができる.このことを踏まえて,次の問題が提唱される: 大気の温度と海水温の観測データから流速(海流の速度)を定めよ. 数学的には,この問題は偏微分方程式の解の情報から方程式の1階の係数を定める問題として定式化される.本年度の研究によるこの問題に対する成果は次のようである:(1)偏微分方程式からFourier変換によって得られる実パラメータを1つ持つ常微分方程式の解のPovzner表現が得られた.(2)得られたPovzner表現の積分核と観測データは積分方程式の形で関連付けられる.この積分方程式は逆散乱問題におけるMarchenkoの方程式の複素共役線形になる.(3)上の積分方程式はRieszの理論の複素共役線形版を作る事により,Wiener-Hopfの技巧を駆使して解くことができる. 2.個体数抑制モデルのカオス 捕食による個体数抑制のモデルのカオスと周期軌道について研究し次の結果を得た:(1)捕食による個体数抑制モデルは大小2つのレベルの移行現象を引き起こす.(2)このモデルを記述する非線形項の停留点の個数が3ならばこのモデルの吸引周期軌道は3個以下である.
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