2004 Fiscal Year Annual Research Report
専用計算機を用いた大規模シミュレーションによる高密度恒星系の進化の研究
Project/Area Number |
15540230
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧野 淳一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50229340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船渡 陽子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80292720)
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Keywords | 並列計算機 / 専用計算機 / 低レイテンシ通信 / 高密度恒星系 / ブラックホール / 球状星団 / 銀河中心 / 恒星系力学 |
Research Abstract |
本研究の目標は、並列GRAPEクラスタシステム上で効率良く動作し、恒星進化と恒星系の力学進化をカップルさせてシミュレーションできるプログラムを開発することと、それを使って星団内で恒星の暴走的な合体が起きる条件を決定することである。 並列シミュレーションプログラムについては、昨年度に引き続き通信ライブラリの開発と多体シミュレーションプログラムとの統合を進めた。その結果、ホストがギガビットイーサネットでつながったGRAPE-6で、従来のTCP/IPプロトコル上に実装されたMPIを使った並列プログラムに比べて通信部分のオーバーヘッドを1/3ないし1/4程度まで減らすことができ、最大3倍程度の性能向上が実現できた。 さらに、並列化されていない従来のプログラムを使ってではあるが、合体が起こる条件や、中間質量ブラックホールができた後の球状星団の進化について研究を進めた。比較的質量が小さい星団については、初期の平均密度と中心密度の両方がある閾値よりも高いことが、暴走的合体が起こる条件であるという結果が得られた。また、ブラックホール形成後の星団については、従来は理論的に密度べきが半径の-7/4乗のカスプができることからそれがそのまま観測されると考えられていたが、球状星団の星の現在の質量関数を考慮するとそうはならず、むしろ、ほとんどフラットなコアとして観測されることがわかった。これらの結果は、学会発表の他Nature等の専門誌に発表した。
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Research Products
(3 results)