2004 Fiscal Year Annual Research Report
近傍のわい小銀河と我々の銀河ハローの恒星の高分散分光による比較研究
Project/Area Number |
15540236
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
定金 晃三 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20110794)
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Keywords | わい小銀河 / 銀河の化学進化 / 高分散分光観測 / 恒星の化学組成 |
Research Abstract |
2005年5月にすばる望遠鏡と大型分光器(HDS)を用いて、UMaわい小銀河に属する赤色巨星8個の高分散スペクトルデータを得ることに成功した。これらのデータを解析し、2003年に得た同じ銀河の星3個の解析結果と合わせて、現在論文を執筆中である。2003年に得られた3個の星の詳細な化学組成解析の結果の論文を発表した(Sadakane et al. 2004,PASJ, 56, 1041)。その中で、わい小銀河に属する星としては最も金属量の低い星cos4([Fe/H]=2.7)と、rプロセス起源の重元素(希土類元素)の異常に多い星cos82の発見を報じた。これらの情報は、孤立した系であるわい小銀河での物質進化の歴史を研究する上で、重要な境界条件を与えるものである。 2004年には、惑星を持つK型巨星4個の高分散スペクトルの研究も行った。使用したデータは国立天文台岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡で得られたものである。結果として、これら4個の星の金属量([Fe/H])は太陽に比べて多くないとの結論を得た。このことは、惑星を持つF-G-K型の主系列星では金属量の多い星が多いとの結果とみかけ上食い違うが、より多くの巨星のサンプルを研究するまでは、はっきりした結論は出せない。また、2004年には、平田龍幸氏(京都大学)、辻隆氏(東京大学)と共同で、日本の恒星分光物理学の発展40年の歴史を回顧する論文を執筆した。
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Research Products
(5 results)